オウンドメディアは“売れる”時代へ|売却の流れ・相場・成功事例を徹底解説

「オウンドメディアは手間がかかるばかりで、この先続けるか悩んでいる」
「収益はあるが、成長の限界を感じている」
こうした悩みを抱える運営者の間で近年注目されているのが、「メディア売却」という選択肢です。
オウンドメディアは、単なるWebサイトではなく、SEO評価・読者基盤・収益構造といった“資産価値”を持つ存在として、市場でも評価されつつあります。特に、M&Aプラットフォームの整備やスモールメディア買収の活発化により、個人運営でも十分に売却可能な時代が到来しています。
本記事では、売却の可否判断から価格相場、成功ステップ、リスクと注意点まで、初めての方でも実行に移せるよう徹底的に解説します。
- オウンドメディアはアクセス・収益・運営体制があれば売却可能な資産になることがわかる
- 売却は現状把握から移管完了まで6つのステップで進めることがわかる
- 売却価格は月間利益の12〜24ヶ月分が相場の目安ことがわかる
- 更新停止や赤字でも将来性があれば売却できる場合があることがわかる

株式会社X-knockは、渋谷にオフィスを構えるWebマーケティングにおけるドクターです。
住宅業界や人材業界、飲食業界様々な業種業界にて、Webマーケティングをサポート。
サイトリニューアル後、問い合わせ件数が1件から10件に増加した事例もあります。
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大学卒業後、Webマーケティング会社を設立。金融メディアを運営。その後、SNSマーケティングの会社に参画し、Web・オウンドメディアの立ち上げ、クリエイティブディレクターとして企画戦略、撮影編集の統括。SNSマーケティング会社の取締役を経て、2021年に株式会社X-knockの代表として総合Webマーケティング会社を起業。数多くのクライアントのマーケティング支援を行う。
オウンドメディアは“売れる資産”になるのか?
結論から言えば、オウンドメディアは「売れる資産」としての評価を得られる時代になっています。特にWebメディアM&A市場では、規模の大小を問わず、一定の条件を満たせば買い手が見つかる事例が増えています。
では、どのようなメディアが売却対象とされるのでしょうか?代表的なポイントは以下の3つです。
- 継続的なアクセス(PV)があること
- 一定の収益構造(広告/アフィリエイト/自社商品CV等)を持っていること
- 運営体制やコンテンツの引き継ぎが可能な状態であること
たとえ赤字や更新停止状態でも、「将来性」や「特化ジャンル」「ドメイン評価」などが評価され、売却に至ったケースも存在します。逆に、運用情報が整理されていない、収益構造が不明確などの状態では買い手の判断が難しく、機会損失につながる可能性があります。
オウンドメディア売却のステップ完全ガイド
オウンドメディアを売却するには、ただ「売りに出す」だけでは不十分です。準備・交渉・契約・移管といった一連のステップを計画的に進めることで、トラブルを防ぎ、納得できる売却が可能になります。
ここでは、実際の売却でよく使われる6ステップを紹介します。
1. 現状把握と数値整理
まずは、自社メディアの現状を正確に把握するところから始めます。整理すべき主な項目は以下の通りです。
- 月間PV、UU、平均滞在時間
- 月間収益とその内訳(広告/アフィリエイトなど)
- 運用体制(更新頻度、ライター・編集体制)
- コンテンツ本数、記事カテゴリ、流入元構成
- 使用ツール(CMS、計測ツール、連携サービスなど)
これらの数値や運用実態を棚卸しすることで、査定や交渉時に“売れる根拠”として提示できます。
2. バリューポイントを明確にする
売却価格に直結するのが、メディアの「強み」です。以下のようなポイントは、買い手にとって魅力となる価値要素です。
- SEO評価が高く、安定した検索流入がある
- 特定のターゲットに強い読者属性(例:医療系、BtoB特化など)
- CV導線が設計されており、収益化モデルが明確
- SNSフォロワー数、メルマガ登録者などの保有リスト
単にPVや収益だけでなく、「このメディアならではの価値」を言語化して伝える準備が不可欠です。
3. 売却の目的と希望条件を決める
「いくらで売れればいいか」だけでなく、何をどこまで譲渡するのかを明確にしておくことが重要です。
- 希望価格(最低ライン・希望ライン)
- 譲渡対象:ドメイン、記事、画像、CMSデータ、SNSアカウント
- 移管後の運営サポート有無、期間の目安
- 競業避止や情報保持(NDA)などの条件
事前に譲れない条件と柔軟に対応できる部分を整理することで、交渉がスムーズに進みます。
4. 売却先の探し方
主な売却ルートは以下の3つです。
売却ルート | 特徴 |
---|---|
M&Aマッチングサイト | 登録・掲載が簡単、買い手と直接やり取り可能 |
仲介会社 | 審査・交渉を任せられるが、手数料が発生 |
自力営業 | 自社と関係のある企業やSNS経由で提案を送る |
それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社に合った方法を選定することが大切です。
5. 交渉・契約時の注意点
売却時にトラブルになりやすいのが価格交渉と契約条件の曖昧さです。
- 秘密保持契約(NDA)を事前に締結
- 譲渡対象を契約書で明記(ドメイン/SNS/GAアクセスなど)
- ドメイン・サーバー・CMSの移管手順を明確化
- 契約解除条件、サポート期間の取り決め
専門家のチェックを入れることで、法的なリスクを最小限に抑えることができます。
6. 売却後に必要な手続きと対応
契約が成立しても、移管完了までは多くの作業が残ります。
- 譲渡対象の引き渡し(ドキュメント、データなど)
- 各種アカウントのアクセス権限移行
- 収益分配(締め日までの計算)
- 継続サポート(1〜3ヶ月などの引き継ぎ対応)
買い手との信頼関係を築くためにも、誠実かつ丁寧な対応が求められます。
売却価格はどう決まる?相場と査定ポイント
オウンドメディアの売却価格は、画一的な基準で決まるものではありません。利益・将来性・資産価値など、複数の要素をもとに総合的に評価されます。
一般的に多くのM&Aプラットフォームで使われる査定基準は以下の通りです。
評価項目 | 説明 |
---|---|
月間利益(営業利益) | 広告・アフィリエイトなどから得られる収益−運用コスト |
運用実績の安定性 | 数ヶ月〜1年以上にわたり安定して利益・アクセスがあるか |
掛け算月数(利益倍率) | 12〜24ヶ月分の月間利益を掛けた金額が目安(例:月10万円×18ヶ月=180万円) |
ドメイン・SEO評価 | 被リンク数、検索順位、インデックス状況、ドメインオーソリティなど |
ジャンルの将来性 | 今後伸びる領域か/広告主が多い市場か/収益モデルの持続性 |
コンテンツ品質・更新性 | 独自性が高く、検索意図に合致した記事構成・品質が維持されているか |
引き継ぎのしやすさ | CMS、GA、素材管理、運営マニュアルなどが整備されているか |
これらを総合的に判断し、買い手と合意した価格が「売却額」となります。
なお、赤字メディアでも「成長可能性」や「特化ジャンルの希少性」によっては価格が付くケースもあります。逆に、PVがあっても収益構造が不明瞭だったり、移管難易度が高い場合は大きく減額されることもあります。
相場は月間利益の12〜24ヶ月分が一つの目安ですが、「価格=価値」ではなく、「価値×交渉力」で価格が決まるという点を理解しておくことが大切です。
売却時のよくある誤解と落とし穴
オウンドメディアの売却は、まだ一般的とは言い切れない分野のため、「売れないだろう」「こんな状態では無理」といった誤解が多く存在します。また、売却時には契約・移管・交渉といった落とし穴も潜んでいます。
ここでは、よくある3つの誤解と、その背後にある“本当に注意すべきポイント”を解説します。
更新が止まっていても売れる?
誤解:「最近記事を更新していないから、もう価値がないのでは?」
実際には、更新が止まっていても売却できた事例は複数あります。なぜなら、買い手が見るのは「今後の育てやすさ」や「SEO資産」「収益の可能性」であり、運営者の稼働状況ではありません。
たとえば、検索順位が安定しており、既存記事が継続的にアクセスを稼いでいるメディアは、運営が止まっていても「整備された資産」として評価されます。
ただし、放置されすぎてデータが古い、管理状況が不明といったケースでは信頼を失いやすいため、最低限の棚卸しや説明資料は必須です。
赤字メディアでも売却可能?
誤解:「利益が出ていない=売れない」
実は、月間赤字でも成約に至ったメディアは珍しくありません。評価されるのは「利益」ではなく「将来性」と「集客力」「ジャンルのポテンシャル」です。
たとえば、
- 特定ジャンルに特化している
- SNSフォロワーが多くリーチ力がある
- SEO評価が高く、リライト次第で収益化が見込める
といった要素があれば、未収益でも“仕込み済み”資産として買い手がつく可能性があります。
契約や移管で揉めるポイントとは?
売却時のトラブルで最も多いのが、「契約内容の曖昧さ」と「引き継ぎ条件の不足」です。
- 譲渡対象が不明確(例:SNSアカウントは含むのか?)
- GAやサーバーのアクセス権移行がスムーズにいかない
- NDA未締結で交渉中に情報が流出
こうしたトラブルを防ぐためには、以下の対策が有効です。
- 事前に「譲渡対象の一覧表」を作成しておく
- 売却前にNDA(秘密保持契約)を必ず締結する
- 専門家に契約書のチェックを依頼する
細部まで言語化し、合意の上で契約を交わすことが、信頼関係とリスク管理の基本です。
売却成功・失敗の分かれ目とは?
オウンドメディアの売却では、「売れた/売れなかった」という結果だけでなく、“なぜそうなったのか”という要因分析が非常に重要です。ここでは、実際の事例をもとに、成功と失敗を分けた具体的な要素を解説します。
成功事例:事前準備が徹底されたケース
ある中規模メディアでは、売却前に次のような準備を行っていました。
- アクセス・収益・記事一覧などの基本データを1枚に整理
- ドメイン/CMS/SNS/GAなどの譲渡対象を明文化
- 引き継ぎ用の運営マニュアル・記事運用ルールを用意
- 価格や条件に関する交渉方針を明確化
その結果、買い手側が安心して判断できる状態が整い、初回相談から約2ヶ月で成約。引き継ぎもスムーズに完了しました。
このように、売却の可否は「数字」だけでなく、信頼を生む準備の質が大きく関係しています。
失敗事例:価格交渉・移管トラブルが起きたケース
一方、失敗に終わった例では以下のような課題がありました。
- 希望価格だけを掲げ、根拠が不明確だった
- 譲渡内容の説明が不十分で、買い手と認識にズレが生じた
- 移管時に必要な情報(GA/FTP/契約書類など)が揃っておらず、作業が大幅に遅延
- 担当者が1人で対応していたため、交渉レスポンスが遅れ信用を失った
結果として、一度成立しかけた交渉が破談となり、買い手が離脱。情報整理を後回しにしたことで、取り返しのつかない機会損失となりました。
売却を成功させるには、「買い手の視点に立った情報開示・運用設計」が不可欠です。交渉が始まる前から、勝負は始まっているといえます。
まとめ|メディアを「育てて売る」という選択肢
オウンドメディア売却は、事業の“終わり”ではなく、次の展開へとつながる戦略的な出口の一つです。これまで時間と労力をかけて育ててきたメディアは、コンテンツ・読者・SEO評価といった形で確かな価値を持っています。
「運営をやめる前に売却という手がある」
「赤字や更新停止でも売れる可能性がある」
この認識を持つだけでも、選択肢の幅は大きく広がります。
本記事を通じて、あなたのメディアがどんな価値を持ち、どんな手順で売却できるのかを具体的にイメージできたのなら、まずは簡易査定や相談から始めてみるのもひとつです。