【ファッションブランド向け】オウンドメディア戦略ガイド!成功事例も紹介

ファッションブランドにとって、SNSを活用した情報発信は欠かせない施策の一つです。しかし「一過性の反応にとどまり、ブランドの価値が伝わりにくい」と感じたことはないでしょうか。
そんな課題を抱える企業が、近年あらためて注目しているのが『オウンドメディア』の活用です。
本記事では、ファッション業界におけるオウンドメディアの役割と導入のポイント、成功事例までを一貫して解説します。SNS・ECとどう役割分担すべきか、どのようなコンテンツが有効か、体制構築の注意点とは何か。
実際のブランド施策に落とし込める具体的な視点を提示します。「継続的にファンとつながる場が欲しい」「広告依存から脱却し、指名検索を増やしたい」とお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
- ファッションブランドにオウンドメディアが必要な理由がわかる
- オウンドメディア立ち上げの具体的な3ステップがわかる
- SNS・ECとの役割分担と連携設計のポイントがわかる
- 成果を上げているファッション系オウンドメディア事例10選がわかる

株式会社X-knockは、渋谷にオフィスを構えるWebマーケティングにおけるドクターです。
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大学卒業後、Webマーケティング会社を設立。金融メディアを運営。その後、SNSマーケティングの会社に参画し、Web・オウンドメディアの立ち上げ、クリエイティブディレクターとして企画戦略、撮影編集の統括。SNSマーケティング会社の取締役を経て、2021年に株式会社X-knockの代表として総合Webマーケティング会社を起業。数多くのクライアントのマーケティング支援を行う。
ファッションブランドがオウンドメディアを立ち上げる3ステップ
ファッションブランドがオウンドメディアを成功させるには、場当たり的な施策ではなく、戦略的な立ち上げ設計が欠かせません。「誰に何を届けるか」「SNSやECとどう連携するか」「どうすれば運用を続けられるか」。
これらを段階的に整理していくことで、成果につながる土台が整います。ここでは、オウンドメディア立ち上げに必要な3つのステップを解説します。
ステップ1:目的・ペルソナを明確にする
オウンドメディアの立ち上げにおいて最初に行うべきは『誰に』『なぜ』『何を』届けるのかを明確にすることです。
目的が曖昧なままでは、発信するコンテンツに一貫性がなくなり、ブランドの世界観も伝わりません。まずは、自社の課題と発信の狙いを整理したうえで、ターゲット像=ペルソナを具体的に描きましょう。
たとえば「ECサイト訪問者の回遊率を上げたい」のか「SNSフォロワーをロイヤルユーザーへ転換したい」のかによって、届けるべき情報も設計も大きく変わります。
ステップ2:SNSやECとの役割分担を設計する
次に重要なのが、他チャネルとの『役割の整理』です。SNSは速報性に強く、リアルタイムでトレンドを届けるのに適しています。一方でECは購買の最終地点となる場です。
オウンドメディアはその中間に位置づけられ、ブランドの背景や世界観を深く伝えることで、ファンとの関係性を育む役割を担います。
つまり、瞬発的なSNS、刈り取りのEC、関係構築のオウンドメディアと、三者の特性を理解し、最適な分担と連携設計を行うことが鍵となります。
ステップ3:継続可能なコンテンツ運用体制を整える
立ち上げ後、成果に結びつけるには『継続運用』が何より重要です。そのためには、属人的にならない体制設計と、現実的な更新頻度の見積もりが求められます。
具体的には、誰が何を担当するかを明確にし、コンテンツカレンダーやテーマ設計を事前に用意しておくことが効果的です。
特に少人数で運用を行う中小ブランドでは、最初からすべてを完璧に整えるのではなく、運用しながら改善できる『回る仕組み』を意識することが成功のポイントになります。
運用フェーズで押さえるべき体制と役割設計
オウンドメディアの成果を継続的に生み出すためには、運用フェーズにおける体制構築と役割分担が非常に重要です。特に少人数体制や兼任メンバーが多いファッションブランドでは、属人化や作業の滞留が大きなリスクになります。
限られたリソースでも成果を出すには、役割設計と運用ルールの明確化が不可欠です。ここでは、社内体制の組み方とリソース配分の考え方、さらに外注すべき業務と内製で担うべき業務の切り分け基準について解説します。
社内体制構築とリソース配分の考え方
オウンドメディアの運用には、企画・制作・編集・更新・分析といった多岐にわたる業務が発生します。すべてを一人で担うのは現実的ではないため、役割の分担と進行管理の設計がカギとなります。
例えば、編集・更新は社内で、専門性が求められるSEO設計やデザイン制作は外部に委託するといった形です。また、投稿スケジュールを見える化した『コンテンツカレンダー』を活用することで、計画的な運用が可能になります。
人数が限られていても、役割を明確にし、タスクを分散するだけで、運用効率は大きく向上します。
外注すべき業務と内製すべき業務の判断基準
効率的なメディア運用を行うには、外注と内製のバランスが重要です。たとえば、SEOやCMS実装といった専門知識が求められる業務は、初期段階では外部パートナーの力を借りるほうがスムーズです。
一方で、ブランドの世界観に深く関わるコンテンツ設計や、SNS連携などの発信は、社内チームが主体となることで一貫性を保ちやすくなります。
判断のポイントは「再現性が高いかどうか」と「社内にノウハウがあるかどうか」です。不得意な業務に時間をかけるよりも、得意領域に集中し、成果を最大化できる体制を整えることが成功の近道です。
成功しているファッション業界のオウンドメディア事例10選
オウンドメディア施策を検討する際、成功事例の研究は非常に有効です。特にファッション業界では、ブランドの個性やターゲット層に応じて多様な形式のオウンドメディアが展開されています。
ここでは、形式・目的ごとに特長を持つ10のファッション系オウンドメディアを紹介します。各ブランドがどのように世界観を発信し、SNSやECと連携しながら成果を上げているかを理解することで、自社の戦略設計に役立てることができます。
- オニツカタイガー|ブランド世界観とストーリー重視型
- SHIPS MAG|雑誌メディア型でのファン醸成
- BEAMS|カルチャー発信型オウンドメディア
- ユニクロ|ニュース型×EC連携戦略
- GU|情報誌型で若年層へダイレクト訴求
- ABC-MART|EC導線最適化型
- 土屋鞄製造所|職人・製品ストーリー主導型
- UNITED ARROWS|コーデ・着こなし特化型
- LUMINE MAGAZINE|商業施設ブランドの集客導線型
- FASHION HEADLINE|ニュース連携型
オニツカタイガー|ブランド世界観とストーリー重視型

オニツカタイガーのオウンドメディアは、創業哲学や職人のこだわり、歴史的背景を丁寧に言語化し、ブランドの世界観を深く浸透させています。特に注目すべきは、SNSとのシームレスな連携です。
SNSで認知を広げた後、オウンドメディアで背景情報や限定インタビューを届けることで、ファンとの関係性を強化。ビジュアル面でも一貫性があり、ブランドの思想と美学を明確に伝える場として機能しています。
一過性ではなく、長期的なブランド理解と愛着を育む構造が設計されている点が特徴です。
SHIPS MAG|雑誌メディア型でのファン醸成

SHIPSが運営する『SHIPS MAG』は、まるで雑誌のような構成と記事ボリュームで、ブランドファンとの信頼関係を築いています。コーディネート提案やスタイリング特集、シーズントレンドの解説など、読み応えのあるコンテンツを定期的に更新。
スタッフの声やライフスタイル企画を通じて、商品そのものだけでなく『SHIPSらしさ』を体感させる設計です。SNSでは拾いきれない深さでブランド文脈を掘り下げ、ファン化と定期訪問を促進する強力なメディア基盤となっています。
BEAMS|カルチャー発信型オウンドメディア

BEAMSのオウンドメディアは、ファッション単体にとどまらず、アート・音楽・映画などのカルチャーを包括的に扱う構成が特徴です。ユーザーの興味関心を起点に、BEAMSの価値観とつなげるコンテンツ設計により、ブランドと生活者の間に共通言語を形成。
連載企画やスタッフ推薦など、主観と情報が絶妙に混ざり合うことで、ファンとの接触頻度を高めています。ブランドの『思想』を伝える器としての役割が明確で、カルチャー文脈でのロイヤルユーザー醸成に成功しています。
ユニクロ|ニュース型×EC連携戦略

ユニクロのメディアは、プレスリリースのような『速報性のある商品情報』と、購入まで直結する『EC連携』の二軸で構成されています。たとえば新商品の紹介記事には、活用シーンやコーデ例が必ず添えられ、直後にECページへの導線が設計されているのが特徴です。
これにより、認知から理解、購買までのステップをワンストップで完結。オウンドメディアが販促チャネルとしても強力に機能しており、検索流入とCVR双方を意識した構成になっています。
GU|情報誌型で若年層へダイレクト訴求

GUのオウンドメディアは、若年層向けに『流行』『価格感』『使い勝手』をテーマとしたコンテンツを毎週のように更新しています。ファッション誌のような軽快なトーンと、Z世代が好むSNS的文脈を織り交ぜた表現が特徴的です。
コーデ提案に限らず、スタッフスナップや購入レビューを含めた実用性の高い記事群で再訪問を促進。購買前の不安を払拭し、コンバージョンへ自然に導く仕組みを構築しています。
ブランドとの『距離の近さ』を体感できるメディア設計です。
ABC-MART|EC導線最適化型

ABC-MARTは、オウンドメディアを通じて商品理解と購買行動の橋渡しを担う構造を採用しています。具体的には、新商品やコラボスニーカーの詳細を、スタイリング例・着用感・シーン別の使い方とあわせて解説。
ユーザーが『買う理由』を納得できる情報を先回りして提供することで、商品ページへの遷移率が高まります。情報と購買導線を分断せず、検索・閲覧・購入を一貫した体験にする導線設計が、ECチャネルの成果最大化に寄与しています。
土屋鞄製造所|職人・製品ストーリー主導型

土屋鞄製造所のオウンドメディアは『職人の声』『製品への想い』『製造工程の透明性』を軸にしたストーリーテリングが特徴です。商品機能ではなく、作り手の哲学や素材の背景に焦点を当てることで、ブランドの信頼感と高付加価値を伝えています。
製品が生まれるまでの物語を深く語ることで、読み手の共感を喚起し、購買後の愛着にもつなげています。価格ではなく『意味』で選ばれるブランドづくりを支える、象徴的なオウンドメディアです。
UNITED ARROWS|コーデ・着こなし特化型

UNITED ARROWSは、コーディネート特化型のオウンドメディアを通じて、スタイリングの提案力とブランド思想を発信しています。各記事はシーズンテーマやシーン別着こなしにフォーカスし、写真とコメントで構成。
読者がそのまま真似できるリアルなスタイリングに落とし込まれており、ファッションの『体験メディア』として機能しています。併せてECページや商品ページへの導線も設計されており、コンテンツが購買行動を後押しする仕組みが整っています。
LUMINE MAGAZINE|商業施設ブランドの集客導線型

LUMINEが運営するオウンドメディアは、館内のブランド情報やトレンドニュースを発信しつつ、来店促進へと導く『集客メディア』として機能しています。注目すべきは、オンラインとオフラインの回遊性を意識した設計です。
記事から館内MAPやキャンペーンページへの導線が自然に設けられており、メディアの閲覧体験がそのまま来店動機へとつながります。リアル店舗との連動性を高めた活用モデルとして、商業施設運営の参考にもなります。
FASHION HEADLINE|ニュース連携型

「FASHION HEADLINE」は、業界ニュースと自社ブランド情報を融合させたニュース連携型オウンドメディアです。国内外のファッショントレンド、企業動向、展示会レポートなどを網羅しながら、自社ブランドの露出もさりげなく挿入する構成が特徴。
SEOを意識したタイトル設計やタグ設計が徹底されており、検索流入の導線としても強力です。業界視点と生活者視点を併せ持つ内容構成が、プロフェッショナル層からの支持も得ています。
ファッションブランドに適したコンテンツ例
ファッションブランドのオウンドメディアでは、単なる情報発信ではなく、ブランドの世界観や価値観を『視覚的かつ文脈的』に伝えることが求められます。そのうえで、SEOでの発見性、SNSでの拡散性、ECでの購買導線との連携までを見据えたコンテンツ設計が理想です。
ここでは、ファッションブランドならではの魅力を最大限に表現できる2つのコンテンツ戦略を紹介します。
世界観を伝えるビジュアル設計
ファッションブランドのオウンドメディアにおいて、ビジュアル設計は世界観の伝達手段として非常に重要です。色味・構図・写真のトンマナが一貫していれば、読者はブランドの『らしさ』を無意識に感じ取ります。
たとえば、ミニマルな世界観を持つブランドであれば、余白を生かした構図やモノトーンを基調とした画像選定が有効です。また、撮影するモデルや背景、光の使い方なども視覚体験に大きく影響します。
テキストだけでは伝えきれない文脈を補完し、ブランディング効果を高めるために、ビジュアルの一貫性は欠かせません。SNSやECと異なり、オウンドメディアは『見せ方』をコントロールしやすいため、トンマナ表現を強化する場として活用するのが有効です。
UGCとの連携施策
UGC(User Generated Content)は、ブランドの信頼性と親近感を高める強力な武器です。ファッション分野では特に、InstagramやX(旧Twitter)に投稿されたユーザーのコーディネートやレビューを、記事内に取り込むことで『リアルな声』を可視化できます。
UGCを活用した記事は『ブランドと顧客がともに作るコンテンツ』という印象を与え、読者との心理的距離を縮めます。また、UGCはSEOにも効果的で『○○ コーデ』『○○ 着こなし』といった検索クエリに対して自然な形で訴求可能です。
導入の際は、掲載許可の確認や投稿者へのインセンティブ設計を行うことで、継続的な活用が可能になります。SNS起点の信頼流入を、オウンドメディアで定着させる導線設計がポイントです。
よくある失敗とその回避策
オウンドメディアの立ち上げや運用においては、初期段階での設計ミスや社内リソースの見積もり違いによって、思うように成果が出ず、継続できなくなるケースが少なくありません。
特にファッションブランドのようにビジュアルと文脈の両方が求められる業界では、戦略の曖昧さや評価指標の未整備が大きなリスクになります。ここでは、失敗の典型例とその対策を2つのパターンに分けて解説します。
戦略が曖昧なまま開始するケース
よくある失敗のひとつが「とりあえず始めてみた」型の立ち上げです。ブランドの世界観や発信目的、想定読者が不明確なまま制作を進めた結果、コンテンツに一貫性がなく、成果が見えづらくなるパターンです。
たとえば、商品のPR記事、コーディネート紹介、ブランドの想いを綴った記事が混在し、何を伝えたいメディアなのかが曖昧になることで、読者の関心も離れていきます。
この失敗を避けるには、立ち上げ前に『誰に』『なぜ』『何を』届けるのかを定義し、ターゲットとコンテンツ軸を明確化することが重要です。ペルソナ設定と、情報設計の初期段階での言語化が、戦略ブレを防ぐ最も効果的な施策です。
KPI設定が曖昧で改善不能になるケース
オウンドメディア運用を続けるうえで避けたいのが『評価指標がないまま走り続ける』状態です。記事の更新をしているにもかかわらず、効果測定ができないために改善が行えず、やがて運用が止まってしまうケースは少なくありません。
原因の多くは、フェーズごとに適切なKPIを設定していない点にあります。立ち上げ初期はページビューや直帰率、導入後は検索順位や指名検索数、一定運用後はCV数や流入元の質など、段階に応じた指標設計が必要です。
定量的な目標があることで、PDCAを回しやすくなり、チーム全体の意識統一にもつながります。特に中小ブランドでは、成果を『見える化』することで社内説得力も高まり、継続運用が可能になります。
まとめ:ファッション×オウンドメディアの可能性
ファッション業界において、オウンドメディアは単なる情報発信の場ではなく、ブランドの価値を深く伝え、顧客との関係性を築くための『資産』です。
SNSでは伝えきれない文脈や背景、世界観を丁寧に発信できる場として、ブランディングやファン化において高い効果を発揮します。また、ECやSNSと役割を分担することで、認知から購買、リピートへとつなげる戦略的な導線設計が可能です。
さらに、長期的なSEO施策や指名検索の獲得にも寄与し、広告依存から脱却した安定的な集客を実現します。これからの時代、ファッションブランドが持続的に支持されるには、『一方的に売る』のではなく『共感でつながる』場の構築が欠かせません。
その基盤となるのが、まさにオウンドメディアです。今こそ、自社らしい伝え方と設計で、未来のファンと出会う準備を始めてみてはいかがでしょうか。