大学オウンドメディア事例10選!目的別の事例と運用のコツ

大学広報の現場では、SNSや広報誌などの発信手段だけでは伝えきれない『大学の魅力』に課題を感じる声が増えています。特に、受験生や保護者、卒業生、社会人など、属性ごとに求められる情報が異なる中で、個別最適なアプローチが求められています。

こうした中、注目されているのが『オウンドメディア』という継続発信型のWebメディアです。大学が独自に運営するこの媒体は、認知や共感の形成、関係性の構築までを中長期で支える発信基盤として、全国の大学で導入が進んでいます。

本記事では、大学オウンドメディアの導入意義や活用目的、成功事例をカテゴリ別に整理し、さらに運用上の課題とその解決策まで具体的に解説します。導入検討や社内提案に役立つ実践情報としてご活用ください。

この記事でわかること
  • 大学にオウンドメディアが必要とされる背景と意義がわかる
  • 目的・対象別に分類した大学メディアの成功事例がわかる
  • 大学特有の課題とその解決策の実践例がわかる
  • 導入・提案に必要な4ステップの整理と活用法がわかる
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この記事の監修者
X-knock代表取締役 遠藤惇
株式会社X-knock代表 遠藤 惇

大学卒業後、Webマーケティング会社を設立。金融メディアを運営。その後、SNSマーケティングの会社に参画し、Web・オウンドメディアの立ち上げ、クリエイティブディレクターとして企画戦略、撮影編集の統括。SNSマーケティング会社の取締役を経て、2021年に株式会社X-knockの代表として総合Webマーケティング会社を起業。数多くのクライアントのマーケティング支援を行う。

目次

なぜ大学にオウンドメディアが必要なのか

大学がオウンドメディアを持つ最大の理由は、学びや研究の価値といった『大学ならではの魅力』を、持続的かつ戦略的に伝えるためです。

SNSや広報誌は情報の即時性に優れる一方で、発信内容が流れやすく、大学の理念や教育姿勢といった本質的な情報は十分に届きません。

対してオウンドメディアは、検索やストック性を活かしながら、中長期にわたってステークホルダーと信頼関係を築ける『資産』として機能します。受験生から社会人まで多様な読者とつながるための基盤として、大学独自の価値を伝える手段が求められているのです。

大学オウンドメディアの目的分類と活用例

大学がオウンドメディアを導入する背景には、広報、採用、教育支援、関係維持といった多様な目的があります。対象層によって設計やコンテンツの方向性が異なるため、それぞれに適した運用モデルを理解することが重要です。

ここでは、代表的な4つの目的別に、活用の切り口と具体例を解説します。

受験生向け(広報)

受験生向けのオウンドメディアでは、学びの魅力や大学生活を具体的に想像できる情報提供が求められます。教員インタビューや研究紹介、キャンパス紹介動画、在学生の体験談などを通じて、未来の学生に大学のリアルを届けることが可能です。

こうしたコンテンツは、広告やパンフレットでは伝えきれない『人』や『現場』の魅力を補完します。特に検索流入を意識した記事設計により、大学名を知らない段階の潜在層とも接点が生まれます。

加えて、保護者も安心材料を求めて情報収集するため、信頼性ある一次情報の蓄積は大学選びの判断材料としても有効です。

保護者・一般社会向け(大学ブランディング)

大学の研究成果や地域との連携活動を社会に発信することで、大学ブランドの確立につながります。特に保護者層は、教育環境の質や大学の社会的評価に敏感であるため、教育方針や研究の姿勢を丁寧に伝える発信が効果的です。

また、地域貢献活動や企業との協働プロジェクトなど、大学が持つ公共性や社会的価値を『見える化』することで、大学に対する信頼や関心を高められます。

オウンドメディアでの継続的な情報提供は、SNSでは埋もれがちな長文コンテンツや背景の深掘りに適しており、社会との信頼関係を築く基盤として機能します。

在学生向け(教育支援)

在学生を対象としたオウンドメディアでは、学びを支える情報基盤としての役割が重視されます。授業外で得られる教養コンテンツや学内イベントの告知、キャリア形成に役立つインタビュー記事などは、学生生活の充実度向上につながります。

また、学内外で活躍する学生や教職員の活動を紹介することで、学生のモチベーション向上にも効果を発揮します。更新頻度の高いコンテンツを用意し、継続的に関心を引く設計が重要です。

さらに、大学ポータルサイトやLMSとの連携により、情報のハブとして機能させることで、メディアの利便性と価値が高まります。

卒業生向け(関係維持)

卒業生との継続的な関係構築は、大学の社会的資産として重要視されています。オウンドメディアでは、卒業生インタビューや寄付活動の報告、同窓会イベントの情報などを発信し、卒業後の接点を維持します。

特に、現役学生との交流機会や企業で活躍するOB・OGの事例紹介は、大学への愛着を高める要素となるでしょう。また、学内外の最新ニュースを届けることで、卒業生が『母校の今』を知るきっかけになり、再訪や支援の促進にもつながります。

中長期的には、人的ネットワークを活かしたアラムナイ・マーケティングの基盤としても機能します。

成功している大学オウンドメディア事例10選

オウンドメディアの成功には、大学の個性や目的に合った設計が欠かせません。ここでは、目的・対象別に成果を上げている10の大学メディアを紹介します。それぞれの『勝ち筋』を明確にすることで、自大学に適した方向性のヒントが得られます。

明治大学「Meiji.net」

Meiji.net
出典:Meiji.net

Meiji.net』は、明治大学の教員が専門分野を活かして社会課題について発信する知的メディアです。特徴は、専門性と一般性のバランスを取りつつ、記事の中で教員の個性や大学の学問的立場を明確に打ち出している点です。

単なるニュースではなく、時事問題に対して大学がどう向き合っているかを示すことで、読者との中長期的な信頼関係を築いています。

定期更新によりSEO効果も高く、学外に向けたブランド価値の発信だけでなく、学内の教員の意欲向上や学生の学びの補完としても活用されています。学術と社会をつなぐ窓口として、大学の『知のプラットフォーム』として確立された運用がされているのです。

京都大学「ザッツ・京大」

ザッツ・京大
出典:ザッツ・京大

京都大学が運営する『ザッツ・京大』は、学生自身の視点で構成された自由な発信スタイルが特徴です。ユニークな体験や価値観に基づいた記事が多く、硬派な大学イメージとのギャップを逆手に取った柔軟な広報戦略が注目されています。

メディアでは、キャンパスライフや学生のリアルな声を通して、受験生にとっての『等身大の大学像』を形成。コンテンツはSNSでの拡散も想定されており、視覚的訴求と読後の共感を重視した編集がなされています。

一方で、コンテンツの企画・実行に学生が深く関わっており、広報活動を通じて主体性や発信力を育む機会にもなっています。大学らしい自由さと多様性を体現する運営モデルです。

近畿大学「Kindai Picks」

Kindai Picks
出典:Kindai Picks

Kindai Picks』は、学生が主体となって記事制作を行う点が大きな特徴です。大学の話題を柔軟に切り取り、タイムリーかつ多様な視点で発信することで、若年層との親和性を高めています。

構成は分野横断型で、理系・文系を問わず大学全体を包括するよう設計されており『Kindaiらしさ』を編集の中で自然に演出しています。SNSとの連携も積極的で、タイトル設計やビジュアル面にも強いこだわりが見られます。

こうした自走型の体制は、情報発信に学生の当事者意識を持たせる点でも効果的であり、大学全体の一体感醸成にもつながっています。若者らしい発信力と大学ブランドの同時強化を両立させた好例です。

東洋大学「LINK@TOYO」

LINK@TOYO
出典:LINK@TOYO

LINK@TOYO』は、教養やライフスキルに焦点を当てたコンテンツを中心に、社会人との接点を意識した発信を展開しています。

特定の研究紹介に偏らず、実生活に活かせる学びや価値観を提供することで、大学の知的資産をより身近に感じさせる工夫がなされています。

記事は、社会人読者や在学生に向けた『人生と学びをつなぐ』設計になっており、卒業後も読者として接点を持ち続けられる構成です。さらに、教員の専門性を軸としながらも語り口は柔らかく、読者層の広がりを意識した編集方針が貫かれています。

学生支援とブランディングを両立し、在学生・卒業生・社会人との関係強化を同時に叶える設計が魅力です。

津田塾大学「plum garden」

出典:plum garden

津田塾大学の『plum garden』は『人』に焦点を当て、学生・教職員が一体となって運営しているメディアです。教員や在学生のストーリー、日々の気づきや活動を丹念に掘り下げるスタイルで、数値や実績では見えづらい大学の空気感や文化を丁寧に伝えています。

コンテンツ制作には学生自身も深く関わり、大学内外との対話を促す場としての役割も果たしています。見た目の派手さよりも、誠実な内容と等身大の視点に価値を置いた構成が特徴です。

その結果、大学の内面を静かに照らし出すブランディングメディアとして高い評価を得ています。信頼感と共感に基づく関係構築のモデルとして注目されています。

立命館大学「ガストロノミア」

ガストロノミア
出典:ガストロノミア

ガストロノミア』は『食』をテーマに据えた専門性の高いオウンドメディアです。立命館大学の学問と産業との接点を可視化する試みとして注目されています。

地域食材や伝統文化、サステナビリティなど幅広いテーマを扱いつつ、それらを学問的に捉え直し、社会と大学の接点を掘り下げています。特定テーマに特化することで、専門領域のファン層や企業関係者とも継続的な接点が生まれ、産学連携の一助にもなっているメディアです。

記事は一般読者にも読みやすく編集されており、大学の専門性を身近に伝える設計となっています。ニッチな領域に絞ることで差別化を実現した、戦略的メディア運営の好例です。

東京学芸大学「edumotto」

edumotto
出典:edumotto

edumotto』は、教育の現場と研究をつなぐメディアとして、東京学芸大学が展開する共創型オウンドメディアです。教育関係者や学生、教員が協働で発信を行う点が特徴で、理論と実践を往復するような構成が設計されています。

内容は教員による研究紹介にとどまらず、教育現場での実践例や学生の活動など、幅広く現場の知見を拾い上げています。また、メディア自体が教育実習の延長線上としても機能しており、学生にとっては発信力や構成力を磨く場にもなっています。

研究と教育、大学と社会を有機的につなぐ構造が、オウンドメディアならではの強みを最大限に活かした実例と言えるでしょう。

青山学院大学「アオガクプラス」

アオガクプラス
出典:アオガクプラス

アオガクプラス』は、学生や卒業生のストーリーを軸に『共感』をテーマとしたブランディングを実践しています。在学生の挑戦、卒業生のキャリア、教員の思いといった内容を丁寧に紹介することで、大学の価値を『人』を通じて自然に伝えています。

感情に訴える構成や温かみのある語り口が特徴です。単なる実績紹介とは異なる、読後感のあるメディア体験を提供しています。

また、卒業生との関係維持にも力を入れており、OB・OGの再訪や寄付、後輩支援などの行動喚起にもつながっています。人と人をつなぐストーリーメディアとして、ブランドの深層を伝える設計が光る一例です。

サイバー大学「CUブログ」

CUブログ
出典:CUブログ

サイバー大学の『CUブログ』は、オンライン大学という特性を活かし、多様な学び方と再教育の重要性を発信しています。社会人やリカレント層を主な読者とし、学び直しの意義や実践例をわかりやすく紹介。

記事では実際の受講者の声や、働きながら学ぶ工夫、最新のIT活用事例などが取り上げられ、読者自身の行動変容を促す内容になっています。また、更新頻度が高く、SEOを意識した設計により、多くの検索流入を獲得しています。

通学のない大学だからこそ、メディアを通じた関係構築が重要視されており、受講検討者への安心感提供と、在学生の帰属意識形成の両面に寄与しているのです。

芝浦工業大学「ShibaLab」

ShibaLab
出典:ShibaLab

ShibaLab』は、芝浦工業大学が理工系大学としての強みを活かし、研究・技術・SDGsをテーマに構成されたオウンドメディアです。研究内容の紹介だけでなく、企業との共同プロジェクトや社会課題解決に向けた取り組みも積極的に発信。

学生の研究活動や教員の視点が多く登場することで、専門性がありながらも実践的な視野を感じさせる内容となっています。特に企業関係者との信頼構築や、技術領域に関心のある高校生への訴求に効果を発揮しています。

加えて、SDGsとの関係性を明確に打ち出すことで、大学としての社会的意義もアピール。理系ブランディングを体現した優れた事例です。

大学ならではの課題とその解決策

大学でオウンドメディアを運用する際には、他業界と異なる『大学特有の壁』が存在します。ここでは、現場でよく見られる3つの課題を取り上げ、それぞれの背景と具体的な解決アプローチを解説します。

縦割り体制で情報連携できない

多くの大学では、広報・入試・教務・学生支援などの機能が部署ごとに分かれており、横断的な情報連携が難しい縦割り構造が課題です。

情報発信に必要な素材や連携相手が不明確なまま、広報課だけでメディアを運営しようとすると、結果的に内容が偏り、関係者の理解も得づらくなります。このような状況を打開するには、全学的な情報共有体制を構築することが重要です。

たとえば、定例の情報共有会議を設け、各部署からコンテンツ候補や課題を持ち寄る運用が効果的です。また、全学的なガイドラインや年間テーマを策定することで、共通の方向性を持って発信できる土壌が整います。

更新が止まる/担当が辞める

オウンドメディア運営において、担当者の異動や退職により更新が途絶えるケースは少なくありません。特に担当者の裁量に依存した属人化運用では、情報や意図が引き継がれず、再開にも時間を要します。

これを防ぐには、継続的な『企画会議制度』の導入が有効です。関係者が定期的に集まり、コンテンツの検討・進捗共有・棚卸しを行うことで、チーム全体の当事者意識が生まれます。

加えて、運用フローや記事テンプレート、確認ルールなどを文書化しておくことで、担当変更時のリスクを軽減可能です。必要に応じて外部パートナーを巻き込むことも、有効な運用安定策となります。

成果が評価されない

大学メディアでは、数値成果や貢献度が可視化されず、学内評価につながらないという課題がよく見られます。単なる記事数やPVではなく『どの対象層にどんな行動を促せたか』を設計・可視化することが求められます。

まずはKPIを明確に定め、記事単位の評価軸(例:回遊率・直帰率・資料DL数)を設けましょう。そのうえで、Google AnalyticsやSearch Consoleを活用して定期的にレポート化し、学内に共有することが効果的です。

また、数値だけでなく、“大学のブランド浸透や関係構築にどう貢献したか”を言語化することも重要です。広報活動全体の中での役割を明示することで、評価と支援が得やすくなります。

まず何から始める?導入・提案のための4ステップ

オウンドメディアの導入や改善を検討する際は、感覚的な「なんとなく始めたい」では学内合意を得るのが難しくなります。実効性のある提案を行うには、次の4ステップを順序立てて整理することが重要です。

  • 目的整理
  • ターゲット決定
  • 体制設計
  • 社内稟議

まず『なぜ今オウンドメディアなのか』を明確にし、受験生の獲得、卒業生との関係強化など大学独自の目的を言語化します。次に、届けたい相手とそのニーズを具体化し、ターゲットごとの情報設計を設けましょう。

運用体制では、役割分担・意思決定フロー・校正ルールの設計が肝となります。最後に、予算、体制、目標を含めた稟議資料を整え、意思決定者を説得するプロセスに移ります。

これらの整理が、導入の一歩を実現可能な計画へと変える鍵です。

まとめ|“発信型大学”としての戦略的メディア活用

大学がオウンドメディアを運用する意義は、一過性の広報ではなく『認知』→『共感』→『関係性形成』という段階的なつながりを、中長期で築ける点にあります。

SNSや広告では補いきれない文脈や理念、人物像といった『大学の本質』を、継続的かつ主体的に発信できることが最大の強みです。

特に、受験生や卒業生、社会人など属性ごとに求められる情報は異なるため、ターゲット別に設計されたコンテンツは、大学と社会をつなぐ信頼構築の手段となります。本記事で紹介した導入手順や事例を参考に、自大学の課題と目的に応じた運用イメージを描いてみてください。

今後は『ただの発信』ではなく『戦略的に共感を育てる仕組み』として、オウンドメディアを再定義する視点が求められます。

X-knockメディア編集部
株式会社X-knockはWeb制作・SEO対策・広告運用を中心としたWebマーケティング会社になります。「成長のキッカケを創る」をミッションとして、事業の成長・個人の成長をマーケティングの力で支援する企業です。
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