オウンドメディアを運用する中で「PV数が少ないのでは?」「これって順調な数字なのか?」といった不安を抱えていませんか。記事は増えているのに成果が見えず、社内からは効果を問われる、そんな焦りを感じているマーケティング担当者や経営層の方も多いはず。
本記事では、オウンドメディアにおけるPV数の妥当な目安を、BtoB/BtoC別・フェーズ別に詳しく解説します。また、単なる平均値ではなく、自社の目的に合ったKPI設計や改善施策までを一貫して紹介。
PVを『目的』にせず『成果につながる指標』として活用するための視点を提供します。目標値の妥当性に迷いがある方、上層部への説明に説得力を持たせたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
- オウンドメディアにおけるPV数の正しい役割がわかる
- BtoB/BtoC・フェーズ別のPV数の目安がわかる
- PVを成果につなげるためのKPI設計と評価指標がわかる
- PV数以外に追うべき重要指標と改善視点がわかる

そもそもオウンドメディアでPV数を追うべきなのか?
オウンドメディアの運用において、PV(ページビュー)数は代表的な成果指標として重視されがちです。しかし、PV数の増加そのものが目的になると、本来の事業成果から乖離した運用になりかねません。
PV数はあくまでKGI(最終目標)を達成するための中間指標=KPIの一つです。たとえば、資料請求や問い合わせといったCV(コンバージョン)数の最大化が目的である場合、PV数はその手前にある『通過点』にすぎません。
PV数だけを追い続けても、リードの質や事業貢献度は判断できないのです。ここからは、PV数が重視される理由を整理しつつ『PV数を目的にしない考え方』を紹介します。
そのうえで、PV数の限界と正しい役割を見直し、成果につながるKPIの評価視点への切り替え方を紹介します。
オウンドメディアにPV数の『目安』は存在するのか?
オウンドメディアのPV数に、すべての企業に共通する『正解』は存在しません。しかし、業界・ビジネスモデル・運用フェーズごとに一定の目安や傾向はあります。
そのため、自社が置かれている状況に応じた基準を持つことが重要です。たとえば、立ち上げたばかりのBtoBメディアと、運用歴の長いBtoCメディアとでは、目指すべきPV数が大きく異なります。
それを知らずに「平均は◯万PVらしい」といった数値だけに振り回されると、誤ったKPI設計や評価に陥るリスクがあります。
ここでは『自社にとっての適正値』を判断するための視点と、PV数の平均値に過信しないための注意点を整理します。納得感あるKPIを設定するうえで、押さえておくべき考え方を身につけましょう。
PV数アップに必要なコンテンツ量と記事数の目安は?
オウンドメディアのPV数は、コンテンツの質だけでなく記事数=量の積み上げにも大きく左右されます。特に立ち上げ初期や検索流入が主軸の運用では、一定以上の記事数を確保しなければPVの成長は見込めません。
目安としては、月間1万PVを目指すなら30〜50本程度の記事が必要とされるケースが多く見られます。これは、1本あたりの平均PVが200〜300前後で推移する想定に基づいた数値です。
ただし、量だけを追っても意味はなく、SEOキーワード設計や情報構造の最適化がセットで求められます。効果的な記事配信のためには『量×質×設計』の3要素がそろって初めて安定したPV獲得につながると考えましょう。
【フェーズ別】オウンドメディアのPV数目安一覧
自社のPV数は順調なのか、それとも改善が必要なのか、そうした判断には自社のフェーズと業種に合った数値感を把握することが重要です。
オウンドメディアの運用段階は大きく3つに分けられ、立ち上げ期・成長期・安定期それぞれで、PV数の目安も変わってきます。下記に、BtoB/BtoC別・フェーズ別の参考値を整理しました。
BtoB企業 | BtoC企業 | |
---|---|---|
立ち上げ期 | 月間3,000〜5,000PV | 月間10,000〜30,000PV |
成長期 | 月間10,000〜30,000PV | 月間50,000〜100,000PV |
安定期 | 月間50,000〜100,000PV | 月間200,000PV以上 |
自社の現在地と照らし合わせて、背伸びしすぎない現実的なKPIを設定することが、継続的な改善とチームの納得感につながります。
PV数を増やすために実践すべき具体施策
PV数を安定的に伸ばすには、記事を増やすだけでは不十分です。狙ったキーワードで検索上位を獲得するSEO設計を軸に、さまざまなアプローチを組み合わせる必要があります。
特に効果が出やすい施策としては、次のようなアクションが挙げられます。
- 検索ニーズに沿ったタイトル設計
- Hタグや構成の最適化
- 過去記事のリライトと内部リンク強化
- SNSやメルマガなど外部チャネルとの連携
なかでも、リライトや構造改善は短期的な効果が期待できる施策として有効です。また、検索ボリュームが中程度のキーワードを狙う『ミドルワード戦略』も、効率的にPVを増やす手段となります。
こうした施策を『点』ではなく『線』でつなぐことで、オウンドメディア全体の成長戦略が描けます。再現性のある改善アクションを積み重ね、PV数の向上を成果につながる第一歩として捉えましょう。
PV数を成果につなげる|KPI設計と評価のポイント
PV数がどれだけ増えても、それがリード獲得や売上といったビジネス成果につながらなければ、本質的な価値は生まれません。オウンドメディアの真の役割は、流入を起点として成果へと導くことです。
そのためには、PV数を『ゴール』ではなく『プロセスKPI』として正しく位置づける設計が求められます。たとえば、次のような指標をステップとしてつなげていきます。
- PV → CV(資料DL、問い合わせなど)
- CV → リード数 → 案件化・売上 → LTV(顧客生涯価値)
このように、1つの指標だけを見るのではなく、複数の指標を『線で結ぶ』発想が重要です。なかでも、CV数やCVR(コンバージョン率)は、PV数の質を測る上でもっとも密接に連動する評価指標となります。
KPIは単なる数値ではなく、成果に向けた『動き方』を示す設計図です。PV数の先にあるゴールを明確にし、貢献度の高い指標を適切に選び、評価できる体制こそがオウンドメディアの真の成功を支えます。
オウンドメディアの成功基準とは?成果につながるKPI設計法
オウンドメディアの運用成果を語る際に『PV数が増えた=成功』と捉えるのは本質的ではありません。真の成功とは、KGI(最終目標)に対してKPIがきちんと機能し、リード獲得や売上といった実際の成果に貢献している状態です。
そのためにはPV数だけでなく、成果への寄与度が高い評価指標を複数組み合わせて見ることが欠かせません。たとえば、次のような指標です。
- UU数(ユニークユーザー数):新規リーチの広がりやリピーターの獲得度合いを測定
- 直帰率・滞在時間:コンテンツの質やユーザーの関心度を把握
- CV数・CVR:ビジネス成果へつながるコンバージョンの効率性を評価
これらを用いて、PV数が最終成果とどうつながるかを可視化する評価設計が、信頼されるメディア運用には不可欠です。KPIは、数字の羅列ではなく戦略の羅針盤であるべきなのです。
PV数以外にも追うべき!オウンドメディアの重要指標一覧
PV数だけを見ていても、オウンドメディアの真の成果は見えてきません。ユーザーの行動や質、成果への貢献度を正しく評価するには、より本質に近いKPI群を複合的に追うことが欠かせません。
ここでは、下記の5つの重要指標を紹介し、定量的かつ戦略的な評価設計の必要性を整理します。
これらの指標を組み合わせて見ることで、メディアのどこに課題があり、何を改善すべきかが明確になります。
UU数(ユニークユーザー数)
UU数は、一定期間内にサイトを訪れた『のべ人数を示す指標』です。PV数が同じでも、UU数が多ければ幅広い層にリーチできていることを意味します。
逆に少なければリピーター中心の流入になっている可能性があります。このバランスを見れば、新規ユーザーの獲得状況や再訪率の傾向を把握することが可能です。
とくに、認知拡大やリード獲得を目的とするメディアにおいては、UU数の伸びが市場浸透度を測るベースラインとなります。PV数とセットで見ることで、量と質のバランスが最適かを判断する重要なKPIです。
CVR(コンバージョン率)
CVR(Conversion Rate)は、訪問者のうちどれだけが成果に至ったかを示す割合です。たとえば、10,000PVのうち100件の問い合わせがあれば、CVRは1%となります。
この指標は、PVが成果へと正しくつながっているかどうかを評価するうえで最も重要です。また、CVポイント(CTA)の配置や導線設計、フォームの最適化などの改善ポイントを発見する材料にもなります。
CVRの低さは「PVはあるのに成果が出ない」状態を示しており、施策の優先順位を見直すきっかけにもなります。表面的なPV数にとらわれず、CVRで“質”を見抜く視点が求められます。
直帰率・滞在時間
直帰率は、訪問者が1ページだけ見て離脱した割合のことです。滞在時間は、ページにとどまっていた時間を表す指標で、コンテンツの読み込みや関心の深さが反映されます。
この2つを組み合わせることで「読まれているか?」「すぐ離脱されていないか?」といったコンテンツの質や導線設計の良し悪しが明らかになります。
直帰率が高く滞在時間が短い場合、コンテンツが検索意図とずれていたり、導線が弱かったりする可能性があるのです。一方で、滞在時間が長く直帰率が低いなら、ユーザーに刺さる内容や構成ができていると判断できます。
コンテンツ改善の優先順位を見極めるためにも、行動指標の分析は欠かせません。
コンバージョン数(CV数)
CV数は、オウンドメディアにおける『最終的な成果数』を示す定量的な指標です。資料請求や問い合わせ、ホワイトペーパーDLなど、ビジネスゴールに直結する成果が何件発生したかを測ります。
PV数が増えていても、CV数が低ければメディアのビジネス貢献度は限定的といえます。そのため、PVからCVへの流れを評価し、どの段階にボトルネックがあるのかを分析することが重要です。
CV数は、他のKPIと連動して初めて意味を持ちます。たとえば、PVは十分でもCVRが低いなら導線の課題、CVRは高いがPVが少ないなら流入拡大が必要といった判断が可能です。
『量』ではなく『価値』を測る評価軸として、CV数のモニタリングは欠かせません。
まとめ|「意味のあるPV」を追い、改善サイクルを設計する
オウンドメディア運用において、PV数はあくまで手段のひとつです。重要なのは、成果につながる『意味のあるPV』をどう積み重ねるかという視点です。
そのためには、自社の目的に合ったKPIを戦略的に設計し、数値をもとに改善を繰り返す運用サイクル(PDCA)が欠かせません。
平均値や一般論に振り回されず『今、自社がどこにいて何を目指すのか』を明確にしながら、指標設計と改善アクションを一体で考える姿勢が、成果を生むオウンドメディアの鍵となります。
本記事があなたのお役に立てることを願っております。