記事数はいくつ必要？オウンドメディアの正しい本数設計と成功事例

「記事数ってどれくらい必要なんだろう？」

オウンドメディアを運用していると、必ず一度はぶつかるこの疑問。上司からの問いかけや、競合との比較で焦りを感じながらも、明確な基準が見えずに手を止めてしまっている方も多いのではないでしょうか。

しかし、記事数は“増やせば成果が出る”という単純な話ではありません。重要なのは、目標から逆算して『自社に本当に必要な本数』を設計すること。

本記事では、CV数からの逆算ロジックや成功企業の配信本数の傾向、そして今日から始められる計画ステップまでを丁寧に解説します。

記事数は何本必要？という悩みがなくならない理由

オウンドメディアにおける「記事数の正解」が見えない背景には、明確な基準や業界共通の指標が存在しないことが大きく影響しています。

「競合は毎月10本更新している」
「上司から“とにかく増やせ”と言われた」

そんな曖昧な判断軸で運用方針が揺れ動き、本来注力すべき設計思考が後回しになってしまうケースも少なくありません。そもそも記事数とは、メディア戦略の“結果”であり、先に決まるべきは『どんな目的を達成するか』です。

明確なゴールを設定しないまま数だけを増やしても、成果につながる確率は下がってしまいます。悩みが繰り返されるのは、「目的なき記事数依存」に原因があります。

成果を出すには何本書けばいい？正しい記事数の考え方

オウンドメディアで成果を出すために必要な記事数は、業種や目的によって大きく異なります。重要なのは『成果から逆算して必要な本数を算出する』という考え方です。記事数は“目的に対する手段”であり、目標CV（コンバージョン）を基準に、流入やCVR（成約率）などの数値をもとに設計すべきです。

この章では以下の3ステップで、必要記事数の算出ロジックを具体的に解説します。

• ステップ①：目標CVを決める
• ステップ②：CVRを想定する
• ステップ③：1記事あたりの平均流入数を想定

とりあえず100本ではなく、“何のために・何本書くか”を設計するための基本思考を押さえておきましょう。

ステップ①：目標CVを決める

まず最初に必要なのは、オウンドメディアを通じてどの程度の成果を上げたいかを定めることです。「資料請求を月10件獲得したい」「年内に30件の問い合わせを目指す」など、仮でも構わないので数値目標を設定しましょう。

目標が曖昧なままでは、適切な記事数も見えてきません。『何を達成したいのか』を明文化することが、あらゆる設計の起点になります。なお、CVはフォーム送信だけでなく、ページ遷移や資料DLなど自社に合ったKPI設計が重要です。

ステップ②：CVRを想定する

次に必要なのは、設定したCV数に対してどれくらいのCVR（コンバージョン率）を見込めるかを仮置きすることです。CVRは業界や商材によって差があるものの、BtoBメディアでは0.5〜2.0％程度が一般的な目安です。

自社の過去実績がある場合はそれを参考にし、なければ類似企業や外部調査の平均値を起点にして構いません。CVRをもとに必要なセッション数（アクセス数）を逆算することで、次の“記事数想定”につながります。

ステップ③：1記事あたりの平均流入数を想定

最後に『1記事でどれだけの流入が見込めるか』を仮に設定します。たとえば、SEOで上位表示されている記事なら月間100〜300PVを稼ぐこともありますが、すべての記事がそこまで読まれるとは限りません。

ここでは平均して月50PVといった現実的な数値を置くことで、必要セッション数÷1記事あたりの流入数＝必要記事本数、という計算が可能になります。

高流入記事とロングテール記事の構成バランスも加味しつつ、無理のない本数設計を意識しましょう。

実際はどのくらい？成功企業に見る記事本数の傾向

必要な記事数は自社ごとの設計が前提ですが、「他社は何本で成果を出しているのか？」という視点は、自社の立ち位置を把握するうえで参考になります。たとえば、CV数が月20件以上の成果を出しているBtoB企業では、記事本数が50〜150本に集中している傾向があります。

この範囲内で、コンテンツのジャンルや導線設計が最適化されていれば、一定のSEO評価とCVへの導線が成立しやすくなります。ただし注目すべきは『単純な本数』ではなく、「集客に効く記事」と「CVを生む記事」の構成比率です。

流入はあるが成果が出ない、あるいはCVしているが検索流入が弱い、といった課題に対しては、この比率の再設計が有効です。成功企業の本数や配信戦略をベンチマークしつつ、自社の課題と照らし合わせて調整を行いましょう。

よくある誤解：記事数が多ければ成果が出る？

「とにかく記事を増やせば、いつか成果が出る」

そう思い込んでしまってはいないでしょうか？確かに記事数は重要な指標のひとつですが、それだけに頼る運用はリスクを伴います。

やみくもに量産することで内容が薄くなり、検索順位が上がらない、ユーザーのニーズに応えられないといった事態を招く可能性があります。特に、テンプレート化された内容やテーマの重複が続くと、Googleからの評価が下がり、全体の信頼性にも悪影響を与えます。

記事数は手段であって目的ではない。量と質は二項対立ではなく、バランスと設計が鍵です。どんな成果を目指し、どのタイミングでどのような内容を届けるかを軸にした構成でなければ、たとえ100本書いても意味がありません。

本数に依存する思考から抜け出し、「設計された数」を目指す視点が求められます。

今日から始める“計画的”記事数設計アクション

『何本書くべきか』が分かったとしても、それを“現場でどう進めるか”が見えなければ、計画は絵に描いた餅で終わってしまいます。そこで本章では、明日からすぐに使える「計画的な記事数設計」のための具体的アクションを紹介します。

アクション	詳細
目標CVを明確にする	月間何件のCVを目指すか、まずは数字で可視化しましょう。仮であっても数値を持つことが出発点です。
現状のCVRを把握する	Googleアナリティクスや過去データをもとに、自社の平均CVRを確認しましょう。参考値としてBtoBでは0.5〜2.0%程度が一般的です。
必要セッション数を逆算する	目標CV ÷ CVR＝必要セッション。ここで全体の集客目標が明確になります。
1記事あたりの平均流入数を想定する	仮に1記事あたり月50PVなら、必要セッション ÷ 50＝必要記事数というシミュレーションが可能です。
カテゴリ・目的別に構成比を調整する	「集客用」「CV誘導用」「信頼形成用」など、役割ごとに記事タイプを分類し、比率と優先順位を決めましょう。

このように、記事数は『逆算』と『設計』で決めるべきです。行き当たりばったりの更新から卒業し、戦略的な積み上げに転換していきましょう。

まとめ：記事数の「正解」は目的から逆算すれば見えてくる

「記事数は何本必要か？」という問いに、絶対的な正解は存在しません。大切なのは、成果という目的に照らして『必要な記事数を戦略的に設計すること』です。

CV目標をもとに逆算し、CVRや流入想定を組み合わせることで、自社にとって無理がなく、かつ効果的な本数が見えてきます。加えて、他社事例や平均値を参考にしながらも、自社のフェーズ・体制・商材に合わせて現実的に落とし込む視点が欠かせません。

闇雲に増やすのではなく、「根拠ある数値」で説明し、納得感のある運用ができる状態を目指しましょう。記事数はゴールではなく、戦略の一部。今日からは“数える”のではなく、“設計する”思考へとシフトしてみてください。