オウンドメディアとペイドメディア、アーンド・シェアードメディアの違い/活用事例/課題を解説

「オウンドメディアペイドメディアの違いを知りたい」
「トリプルメディアマーケティングについて知りたい」
「アーンドメディア、シェアードメディアについても詳しく教えてほしい」
「新しい概念であるPESOモデルも教えてほしい」
そんな、オウンドメディアやペイドメディア、アーンドメディア、シェアードメディアにまつわる悩みを本記事で解決します。
オウンドメディアやペイドメディアの特徴や違いを理解できることにより、より根拠を持ったマーケティング施策を打つことができます。
オウンドメディアだけでもビジネスやサービスは持続的に成長できないし、ペイドメディアだけでもそうです。
本記事では、4つのメディアの違い・特徴・メリット・デメリットを図解や事例を交えて詳しく解説し、企業が自社に適した活用法を見出せるよう導きます。
- オウンドメディアとペイドメディアの違い
- アーンドメディアとシェアードメディアについて
- トリプルメディアマーケティングについて
- PESOモデルについて

株式会社X-knockは、渋谷にオフィスを構えるWebマーケティングにおけるドクターです。
住宅業界や人材業界、飲食業界様々な業種業界にて、Webマーケティングをサポート。
サイトリニューアル後、問い合わせ件数が1件から10件に増加した事例もあります。
詳細はお気軽にお問い合わせください。

大学卒業後、Webマーケティング会社を設立。金融メディアを運営。その後、SNSマーケティングの会社に参画し、Web・オウンドメディアの立ち上げ、クリエイティブディレクターとして企画戦略、撮影編集の統括。SNSマーケティング会社の取締役を経て、2021年に株式会社X-knockの代表として総合Webマーケティング会社を起業。数多くのクライアントのマーケティング支援を行う。
オウンドメディア・ペイドメディア・アーンドメディア・シェアードメディアの違い

マーケティングにおいて情報を届ける手段は多岐にわたりますが、その中でも代表的な4つのメディアとして「オウンドメディア」「ペイドメディア」「アーンドメディア」「シェアードメディア」があります。
これらは、誰が発信し、どのように広がり、どの程度の信頼性を持つかという観点で明確に役割が異なります。
たとえば、オウンドメディアは自社が主体となって発信する情報源であるのに対し、ペイドメディアは広告費を投じて掲載されるメディアです。
さらに、アーンドメディアは第三者によるレビューや口コミなど評価に基づいた拡散が行われ、シェアードメディアはSNSを通じたユーザー間での共有が中心となります。
これらの特性を正しく理解し、適切に使い分けることが、効果的なマーケティング設計の第一歩になります。
オウンドメディアの特徴・課題・運用する際のポイント
オウンドメディアとは、自社が所有・管理するWebサイトやブログなどのメディアを指します。企業の想いや専門性を自らの言葉で発信できるため、ブランドの世界観をしっかり伝える手段として注目されています。
一方で、立ち上げ初期はアクセスが伸びにくく、運用体制の構築にも一定のハードルがある点には注意が必要です。オウンドメディアが得意とする領域、抱える課題、運用で意識すべきポイント、そして成功事例について詳しく解説します。
オウンドメディアが解決できること
オウンドメディアの最大の強みは、広告費をかけずに見込み顧客と長期的な関係を築ける点にあります。
たとえば、検索ユーザーのニーズに合っている記事を継続的に発信することで、Google検索などの自然検索流入からのアクセスを獲得できます。
これは、リスティング広告のような一時的な広告集客とは異なり、コンテンツが資産として積み上がっていくため、中長期的に安定した効果をもたらします。
また、自社の価値観や専門性を体系的に伝えることができるため、ブランドへの信頼構築にも大きく影響します。情報発信の自由度が高い点も、オウンドメディアならではの利点です。
オウンドメディアが解決できない課題
一方で、オウンドメディアには即効性のある成果を求めにくいという側面があります。
立ち上げ直後は検索順位が安定せず、十分なアクセスを集めるまでに時間がかかります。
また、広告のように意図したタイミングで確実に情報を届けることは難しく、認知拡大やキャンペーン時には他の手段と併用する必要があります。
さらに、コンテンツ制作には一定の専門人材やノウハウ、知識が求められるため、記事が更新されない状態が続くと、メディア全体の信頼性低下につながります。
継続的な運用が前提となるため、体制づくりの段階から慎重な計画が必要です。
オウンドメディアを運用する際のポイント
オウンドメディアを成果につなげるためには、単に記事を更新するだけでは不十分です。
成果を最大化するには、明確な戦略と継続的な改善が不可欠です。
以下の3つの観点を意識することで、効果的な運用が実現できます。
ポイント | 解説 |
---|---|
ポイント1:SEO設計とキーワード戦略の明確化 | ペルソナが実際に検索するキーワードをもとにコンテンツ設計を行い、検索エンジンからの流入を意識した構成に整えることが重要です。 |
ポイント2:読者視点のコンテンツ企画 | 企業目線の発信ではなく、ユーザーが求める情報や悩みに寄り添った記事テーマと表現を選ぶことで、読了率やCV率の向上が期待できます。 |
ポイント3:継続的な運用体制の構築 | 社内外のリソース配分を明確にし、週次や月次など定期的にコンテンツを更新するスケジュール管理と、分析に基づいた改善サイクルが求められます。 |
これらを計画的に実行することで、オウンドメディアは信頼性の高い資産として成長していきます。
オウンドメディアの事例
LIGブログ(株式会社LIG)

オウンドメディアの成功事例として特に有名なのが、株式会社LIGが運営する「LIGブログ」です。
自社のWeb制作サービスや人材採用を目的に、社員が自ら執筆を行い、社内文化や技術情報、ノウハウを発信しています。
運用を通じて企業ブランディングに成功し、営業や採用面でも高い効果を上げています。
北欧、暮らしの道具店(株式会社クラシコム)

ECサイトと連動したライフスタイル系オウンドメディアで、商品紹介にとどまらず、読みもの・動画・ポッドキャストなど多様なコンテンツでブランドの世界観を発信しています。売り込み色を抑え、丁寧に暮らす価値観に共感するファンを獲得し、指名検索や再訪率の高さが強みです。
サイボウズ式(サイボウズ株式会社)

グループウェアを提供するIT企業が運営するオウンドメディアで、商品PRではなく「働き方」「組織づくり」といったテーマを軸に展開しています。
共感性の高いインタビュー記事や社会課題への切り口により、ブランディングと採用の両面で強い効果を上げています。
ペイドメディアの特徴・課題・運用する際のポイント
ペイドメディアとは、広告費を支払って情報を掲載する有料のメディアチャネルの事をいいます。代表的なものにリスティング広告、SNS広告、純広告、タイアップ記事などがあり、お金を払ってメッセージを迅速に届ける手段として活用されています。
目的に応じて多彩なフォーマットが存在する点も特徴です。
ペイドメディアが得意とする領域と課題、効果的な活用ポイント、実際の企業事例を紹介しながら、導入の判断材料を整理します。
ペイドメディアが解決できること
ペイドメディアの最大の利点は、素早く、多くの人にコンテンツを届けられる即効性にあります。
新商品やキャンペーンなど「今すぐ知ってほしい情報」を届けるには最適な手段です。
また、ターゲティング精度の高い広告手法を活用することで、見込み客への到達率も高めることができます。特に、認知拡大やアクセス獲得の初動フェーズにおいては、検索広告やSNS広告が力を発揮します。
たとえば、
- 新商品のローンチやキャンペーン告知
- ブランドの認知度拡大
- 特定キーワードでの露出確保
- 検索結果の上位表示によるトラフィック獲得
といった目的に対して、高い即効性と制御可能な露出を実現できます。
ペイドメディアが解決できない課題
一方で、ペイドメディアは広告費の投入を停止すると、即座に効果が途絶える点に注意が必要です。コンテンツが資産として蓄積されないため、中長期的な集客にはつながりにくい傾向があります。
また、クリック単価(CPC)の高騰や広告疲れといった課題も抱えており、同じ施策を長期間継続してもパフォーマンスが維持できるとは限りません。
予算に依存する形の施策である以上、費用対効果の綿密な管理が求められます。
さらに、ユーザーからは「広告」として認識されやすく、コンテンツの信頼性やクリック率が自然流入に比べて低くなるケースもあります。
ペイドメディアを運用する際のポイント
成果を最大化するためには、出稿するだけでなく、運用設計や改善の仕組みを整えることが不可欠です。以下の観点を押さえることで、無駄のない投資と効果の可視化が実現できます。
ポイント | 解説 |
---|---|
ポイント1:目的とKPIの明確化 | 認知拡大かCV獲得かなど、目的によって適切なチャネルや広告形式が異なるため、事前に目標指標を設定します。 |
ポイント2:ターゲット設定と広告クリエイティブの最適化 | ペルソナに合ったビジュアルやコピーを用い、訴求ポイントを明確にすることで反応率を高めます。 |
ポイント3:配信後のPDCAサイクル運用 | A/Bテストやユーザー行動分析を通じて、広告文・LP・ターゲティング条件などを継続的に見直します。 |
これらを踏まえたうえで、必要に応じてオウンドメディアやSNSと連携し、メディアミックス型の戦略に発展させることも有効です。
ペイドメディアの事例
メルカリ(株式会社メルカリ)

フリマアプリ「メルカリ」は、テレビCMとWeb広告を組み合わせたペイドメディア戦略を展開し、短期間で急速なユーザー獲得に成功しました。
とくにアプリ利用のハードルを下げる表現や、出品・購入の手軽さを強調した訴求により、幅広い層への認知拡大とインストール数の急増を実現しています。
マネーフォワード(株式会社マネーフォワード)

家計簿アプリやクラウド会計ソフトを展開する同社は、検索広告・リマーケティング広告を用いてBtoC・BtoBの両面で成果を上げています。
特に「確定申告 アプリ」「クラウド会計 比較」などのキーワードで広告を出稿し、検討層への訴求を強化しながらオウンドメディアやLPへ誘導する導線設計を構築しています。
ビズリーチ(株式会社ビズリーチ)

ハイクラス転職サービス「ビズリーチ」は、SNS広告とバナー広告を活用し、ユーザーのライフスタイルに合わせた訴求を展開しています。
年収帯や職種別などのセグメント配信を実施し、限られたターゲットへの的確な接触と高いCV率を実現しています。
アーンドメディアの特徴・課題・運用する際のポイント
アーンドメディアとは、企業やブランドが直接広告費を支払うことなく、第三者によって自発的に発信・拡散されるメディアのことを指します。
その代表例として挙げられるのが、新聞・雑誌・テレビなどのマスメディアによる報道や取材記事、およびWebニュースサイトや業界メディアによる掲載です。
「企業が発信したもの」ではなく、「第三者が信頼や共感に基づいて自主的に発信している」という点です。
アーンドメディアが解決できること
アーンドメディアは、第三者による自発的な情報発信によって拡散されるため、高い信頼性と影響力を持っています。そのため、次のような課題の解決に効果的です。
まず挙げられるのが、ブランドやサービスの認知拡大です。特にマスメディアや信頼性のあるWebメディアによる報道や取材は、多くの人々に一気に情報を届けることができ、企業自身の発信よりも強い説得力を持ちます。
また、ユーザーの口コミやレビュー、SNSでの自然な投稿は、生活者目線でのリアルな声として受け止められやすく、企業に対する信頼感の向上や好意形成にもつながります。
広告とは異なり、押しつけがましさがないため、見込み顧客の関心を引き、購買行動を後押しする効果も期待できます。
さらに、話題性のある商品やサービスがSNSやメディアで取り上げられることで、バズの創出につながることもあります。自社が仕掛けたわけではなく「自然に広まった」という事実そのものが、ブランド価値を高める要因になるのです。
アーンドメディアが解決できない課題
アーンドメディアは信頼性や拡散力に優れている一方で、企業側のコントロールが難しいという特性を持っています。そのため、すべてのマーケティング課題を解決できるわけではありません。
まず大きな課題として、即効性のある集客や売上向上には向かないという点が挙げられます。
情報が拡散されるかどうかは外部の判断に委ねられるため、いつ、どれだけの効果が出るかを事前に予測するのは困難です。短期間で成果を求めるキャンペーンや販売促進には不向きといえるでしょう。
また、発信者が企業ではないため、ブランドメッセージや意図が正確に伝わらない可能性もあります。第三者の解釈や表現によって、情報が歪められたり、企業の本来のイメージと異なる形で広まってしまうこともあるため、ブランド管理の観点では注意が必要です。
さらに、ネガティブな反応や批判的な投稿もアーンドメディアの一部として広がる可能性があります。炎上リスクや悪評の拡散といったリスクを伴うため、常にモニタリングと迅速な対応が求められます。
このように、アーンドメディアは効果が大きい反面、予測や管理が難しく、計画的・戦略的な活用が不可欠です。
アーンドメディアを運用する際のポイント
アーンドメディアは、自社の直接的な発信ではなく、第三者による発信を促すものであるため、「発信されるきっかけ」をいかに作るかが運用の鍵となります。
自然発生的に取り上げられる可能性を高めるためには、いくつかの戦略的アプローチが必要です。
ポイント | 解説 |
---|---|
ポイント1:話題性のあるコンテンツやネタを用意する | ユニークなサービス、共感を呼ぶストーリー性、社会的意義など、「シェアしたくなる」「報道したくなる」要素を盛り込んだ情報設計が不可欠です。 |
ポイント2:メディアやインフルエンサーとの関係構築 | 日頃から記者や編集者、影響力のある人物と接点を持ち、信頼関係を築いておくことで、いざというときに取り上げられやすくなります。 |
ポイント3:ユーザーとのエンゲージメントを高める施策 | SNS上でのコミュニケーションや、口コミを促すキャンペーンの設計など、ユーザーが自発的に情報を発信したくなるような仕掛けを設ける |
このように、アーンドメディアは「偶然ではなく意図してアカウントやメディアを育てる」姿勢で取り組む必要があります。
アーンドメディアの事例
無印良品(株式会社良品計画)

無印良品は、ユーザーによるSNS投稿が自然発生的に増えている代表的なブランドです。
特にInstagramでは、「#無印良品のある生活」「#MUJI収納」などのハッシュタグが数十万件以上使われており、商品の活用事例や購入報告が日常的に投稿されています。
企業側もそれをただ見守るのではなく、人気投稿をピックアップして自社アカウントでリポストしたり、リアル店舗の棚づくりやサイネージに活用するなど、ユーザーの声を公式に昇華する仕組みを確立しています。
このような双方向の姿勢が、無印良品というブランドへの信頼感を醸成し、結果的に広告費を抑えながらも高い認知度と顧客ロイヤルティを実現している要因といえます。
BASE(BASE株式会社)

ECプラットフォームのBASEでは、ショップ開設者(個人事業主やクリエイター)が、自らの成功体験や販売実績をSNSで積極的に発信しています。
たとえば「#BASEで開業」などのハッシュタグ投稿を通じて、開設のきっかけや商品のこだわり、売上報告が拡散されており、それが次なる出店希望者への後押しとなっています。
企業側は、そうした投稿を公式アカウントで紹介するだけでなく、ニュースメディア向けの広報素材としても活用する。ショップオーナーの声が企業の語らない実績証明となり、信頼を獲得する導線を築いています。
シェアードメディアの特徴・課題・運用する際のポイント
シェアードメディアとは、SNS上でユーザー同士が情報を共有・拡散することによって成り立つメディア領域を指します。
企業の発信に対し、ユーザーが「いいね」「シェア」「コメント」などを通じて反応し、それが次のユーザーに波及していく構造です。
主な例としては、X(旧Twitter)やInstagram、Facebook、LINE公式アカウントなどがあります。ユーザーとブランドがつながる場であると同時に、企業と顧客との信頼関係を構築する手段としても重要です。
シェアードメディアが解決できること
シェアードメディアは、既存顧客やフォロワーを介して情報が広まるため、「共感」を軸にした自然な拡散が期待できます。
広告のように押しつけがましくなく、ユーザーの興味関心に寄り添った形で広がるため、エンゲージメントの質が高いことが特徴です。
特に以下のような目的に対して効果を発揮します。
- 企業や商品に対する好意的なブランドイメージの醸成
- フォロワーを起点とした低コストなクチコミ拡散
- キャンペーン施策による短期的な話題化の創出
- ファンとの継続的な接点によるロイヤル顧客の育成
SNSが「日常の延長線上」にあることから、生活者目線での共感・感動が広まりやすく、購買行動にも直結しやすい傾向があります。
シェアードメディアが解決できない課題
一方で、シェアードメディアはコントロールしづらく、意図した通りに話題化させることが難しい点が課題になります。
丁寧に発信しても反応が得られないこともあれば、企業にとって不利益な情報が拡散されてしまうリスクもあります。
さらに、SNSのアルゴリズムは変動が激しく、投稿がどれほどの人に届くかは常に不確実です。加えて、情報の鮮度が求められるため、トレンドや世間の空気感を無視した投稿は逆効果になる場合もあります。
このように、拡散力の強さゆえの不安定さと、炎上リスクの高さが運用上の懸念点となります。
シェアードメディアを運用する際のポイント
シェアードメディアを効果的に活用するには、「企業が語る」だけでなく「ユーザーが共感して語りたくなる」設計が欠かせません。次の3点が運用のカギとなります。
ポイント | 解説 |
---|---|
ポイント1:共感・体験型コンテンツの設計 | 実体験やストーリー性のある投稿がユーザーの心を動かし、シェアされやすくなります。 |
ポイント2:ユーザー参加型施策の実施 | ハッシュタグ投稿キャンペーンやフォトコンテストなど、ユーザーが自ら発信できる場を設けることで拡散が誘発されます。 |
ポイント3:ブランドトーンとトレンドのバランス | 流行語や時事ネタを取り入れる際は、自社ブランドの世界観と整合性が取れているかを常に確認することが重要です。 |
これらを軸に、発信と受信の双方向コミュニケーションを継続することで、ブランドに対する信頼と共感が醸成されていきます。
シェアードメディアの事例
シェアードメディアの成功は、「拡散されやすい投稿」を作ること以上に、「拡散される文脈」を設計することにあります。ここでは、シェアードメディア活用に長けた代表的な企業の実例をご紹介します。
スターバックス コーヒー ジャパン

スターバックスは、InstagramやXを通じたビジュアル重視のSNS運用で知られています。特に「#スタバ新作」「#スタバのある生活」など、ユーザー発信が自然に誘導されるハッシュタグ文化を形成。
限定フラペチーノの写真が日常的に投稿され、1日で数万件のUGC(User Generated Content)を生み出すケースもあります。
企業アカウントもユーザー投稿をリポストするなど、「ファンとの共創」を明確に意識した運用スタイルを徹底しています。
ユニクロ(UNIQLO)

ユニクロは、X(旧Twitter)やInstagramでユーザーのコーディネート投稿を積極的に紹介し、UGCをマーケティング資産へと昇華させています。
「#ユニクロ購入品」「#今日のコーデ」などの投稿を企業アカウントが定期的に紹介することで、ユーザー参加型の空気を醸成。SNSでの言及がブランドの信頼感を高める要因にもなっています。
また、SNS限定キャンペーンを行い、クーポンや先行情報を提供することで、フォロワーとのエンゲージメントを高めています。
JINS(株式会社ジンズ)

メガネブランドのJINSは、「#JINSで変わる」をテーマに、ユーザーのビフォーアフター体験や新商品レビューをSNSで促進。
企業側が積極的に反応・引用投稿を行うことで、個人の感想が次の購入検討者への後押しとなり、商品認知とブランド共感を同時に得る仕組みを確立しています。
トリプルメディアマーケティングとは

トリプルメディアマーケティングとは、「オウンドメディア」「ペイドメディア」「アーンドメディア」の3つのメディアを戦略的に組み合わせて活用するマーケティング手法です。
それぞれのメディアは特性も役割も異なるため、単体では補えない課題を、他のメディアが補完する形で機能させることが目的です。
たとえば、自社のオウンドメディアで価値ある情報を発信し、検索やSNSでの流入を狙いながら、ペイドメディアで即時的な認知拡大を図ります。
そして、ユーザーからの口コミやSNSシェアといったアーンドメディアによって、第三者の信頼性を加えることで、購買やブランド理解を深めていく設計です。
トリプルメディアの最適なバランスを見つけることが、デジタルマーケティングにおける成果を安定して生み出す鍵といえます。
PESOモデルとは

PESOモデルとは、4つのメディアを統合的に活用するマーケティング手法を指します。
PESOとは、Paid(ペイドメディア)、Earned(アーンドメディア)、Shared(シェアードメディア)、Owned(オウンドメディア)の頭文字を取った略称です。
もともと「トリプルメディア」として3分類されていたメディア構造に、SNSの普及によって「シェアードメディア」が加わり、より現代的な枠組みとして整理されたのがこのモデルです。
それぞれのメディアの特性を理解した上で、段階的に使い分けることで、認知・集客・共感・信頼のすべてを網羅した戦略的マーケティングが可能になります。
PESOモデル(オウンド・ペイド・アーンド・シェアードメディア)によるマーケティング戦略6ステップ
予算が潤沢にあれば4つのメディアすべてに同時投資するのが理想ですが、実際には限られた予算の中で成果を上げる必要があります。ここでは、中小企業やスタートアップでも実践しやすい、段階的にメディアを活用していく6ステップの戦略をご紹介します。
①【20万/月】ペイドメディアでテストマーケティング
まずは限られた予算で、リスティング広告やSNS広告を活用し、ターゲット層の反応やニーズをテストします。
Google広告やInstagram広告を使えば、興味関心や地域、年齢などの条件で絞り込んだ配信が可能です。
この段階では、CV率・クリック率・滞在時間などの定量データを集め、仮説検証を繰り返します。
②テストマーケによって得た情報を分析し、オウンドメディアでペルソナに沿った戦略実行
広告データを分析し、反応のよかったキーワードや訴求軸をもとに、オウンドメディアに最適化されたコンテンツを展開します。
ターゲットの課題や関心に応える記事、SEOを意識した設計で検索流入を狙う構成が理想です。
この段階では、CVにつながる記事導線やLP連携もあわせて設計していきます。
③オウンドメディアでアクセスが取れるようになったらペイドメディアにも予算を投じる
オウンドメディアで一定のアクセスと成果が確認できたら、再びペイドメディアへの投資を強化します。
このときは「アクセス増」のためではなく、「すでに反応の良い記事やページ」への誘導広告として使うと効果的です。
PDCAが回っているオウンドメディアと広告を連携させることで、投資効率が飛躍的に向上します。
④オウンド・ペイドメディア2つを軸に実行し、シェアードメディアで拡散を狙う
コンテンツと広告の両軸で成果が出始めたら、SNSなどのシェアードメディアでの拡散設計に注力します。
ユーザーが自然に共有したくなる記事、ビジュアル、共感ストーリーを仕込み、ハッシュタグキャンペーンやプレゼント企画なども活用します。
ファンとの接点を増やし、SNS内での共感と共創の空気を作ることがポイントです。
⑤シェアードメディアでの拡散が生まれたらアーンドメディアによる取材の獲得
シェアードメディアで話題性が生まれ、ブランドの認知が拡がると、次に期待できるのが第三者メディアからの取材や紹介です。
この段階で、プレスリリース配信や、インフルエンサーへの情報提供など、アーンドメディア獲得のための「しかけ」を動かしていきます。
企業のストーリーやユーザーの体験が外部メディアに取り上げられることで、ブランドの社会的信頼が飛躍的に向上します。
⑥1〜6のステップをひたすらPDCAを繰り返す
PESOモデルを一巡した後は、データ分析とユーザーの反応をもとに改善と再設計を繰り返すPDCA運用に入ります。
新たな広告訴求、新規コンテンツの追加、SNSトレンドの変化への対応など、各メディアの成果を連動させることで、持続的に効果を高めていくことが可能です。
PESOモデルは一度作って終わりではなく、「生きた設計図」として、マーケティング戦略の中心に据えるべき概念です。
まとめ
オウンド・ペイド・アーンド・シェアードの4メディアは、それぞれ役割も強みも異なります。単体での運用では限界があるため、PESOモデルとして連携させることで、より効果的なマーケティングが実現できます。
限られた予算でも、目的とフェーズに応じて順序立てて活用することで、継続的に成果を積み上げることが可能です。まずは自社に足りない領域を見極め、小さく始めてPDCAを回すことが成功への第一歩です。