オウンドメディアでブランディングを成功させる方法|目的別構成パターンと事例を紹介

「SEOでPVは取れるようになった。でも、ブランドとして何も伝わっていない気がする…」
そんな課題感を持つWeb担当者や広報責任者が増えています。オウンドメディアは情報発信だけでなく、企業の価値観や世界観を伝える“ブランドメディア”としての役割も担い始めています。
しかし、見た目を整えるだけではブランディングにはなりません。必要なのは、コンセプト設計やトーンの一貫性、読者との関係性を育むコンテンツです。
本記事では、ブランディング型オウンドメディアの基本構造から、成功事例・失敗パターン・設計フロー・KPI設計までを体系的に解説します。自社の目的に合ったブランド発信の道筋を見つけましょう。
- オウンドメディアを使って企業の価値観や世界観を伝えるブランディングの基本構造
- SEO型とブランディング型の違いや、両立させるための設計ポイント
- 成果につながるブランドメディアの設計手順と、効果を測るKPIの考え方

株式会社X-knockは、渋谷にオフィスを構えるWebマーケティングにおけるドクターです。
住宅業界や人材業界、飲食業界様々な業種業界にて、Webマーケティングをサポート。
サイトリニューアル後、問い合わせ件数が1件から10件に増加した事例もあります。
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大学卒業後、Webマーケティング会社を設立。金融メディアを運営。その後、SNSマーケティングの会社に参画し、Web・オウンドメディアの立ち上げ、クリエイティブディレクターとして企画戦略、撮影編集の統括。SNSマーケティング会社の取締役を経て、2021年に株式会社X-knockの代表として総合Webマーケティング会社を起業。数多くのクライアントのマーケティング支援を行う。
オウンドメディアブランディングとは何か?
『ブランディングは大事』と言われても、実際にどのような要素で成り立ち、なぜオウンドメディアと相性が良いのかを言語化できる担当者は少なくありません。まずは、ブランドを構成する基本概念と、オウンドメディアがその表現手段としてどのように機能するのかを理解することが出発点です。
ここでは、以下の2つの視点からブランディングの土台を整理します。
それでは解説していきます。
ブランディングの基本概念
ブランディングとは、商品やサービスの機能だけでなく、企業の価値観や姿勢を通じて共感や信頼を醸成する取り組みです。具体的な構成要素には、ブランドの『理念・世界観』『一貫したメッセージ』『視覚表現(ロゴ・色・トーン)』などが含まれます。
単なるロゴやスローガンではなく、受け手の記憶や感情に残る“体験”を生み出すことが目的です。そのためには、自社らしさを言語化し、あらゆる発信に一貫性を持たせることが求められます。
オウンドメディアとの関係性
オウンドメディアは、企業が自ら所有・管理できる発信の場です。広告やSNSと異なり、制限なく自社の価値観やストーリーを丁寧に伝えることができます。
この自由度の高さが、ブランドの世界観を中長期的に育てるブランディングと相性が良い理由です。また、コンテンツの積み重ねによってファンを育成し、信頼や指名検索といった無形資産を蓄積できるのも、オウンドメディアならではの強みです。
自社の語り口を確立する場として重要な役割を担います。
SEO型との違いとブランディングの設計指針
「SEOとブランディングは両立できるのか?」という疑問を持つ読者は多く、実際に混同されたまま運用されているメディアも少なくありません。SEOは検索ニーズへの即時的な応答を重視する一方で、ブランディングは中長期的な関係性の構築が目的です。
アプローチや構成の思想が異なるため、区別したうえで設計する必要があります。この章では、以下の2点を中心に解説します。
SEO型との目的と構成の違い
SEO型のオウンドメディアは、検索キーワードを起点に設計され、読者の疑問や悩みに対する明快な解答を提供することで、トラフィックやCVを獲得します。一方、ブランディング型は、企業の価値観やストーリーを軸に共感や信頼を築く長期設計です。
構成も、「課題→解決」型よりも「共感→価値観提示→選ばれる理由」型が主流です。両者は目的も読者との関係性も異なるため、役割を混同せずに構築することが成果の鍵となります。
SEOとブランディングの両立ポイント
SEOとブランディングは対立する概念ではなく、目的に応じて設計を分けることで共存が可能です。たとえば、情報解決型の記事は検索流入を担い、ブランド訴求型の記事はトップやカテゴリページで世界観を構成する、といった住み分けが有効です。
タグやカテゴリを活用して導線を設計し、SEOで獲得したリードにブランド型コンテンツを届けることで、関係性を深める導線設計が実現します。目的別に構造を整理することが両立の前提です。
ブランディング成功事例に学ぶ要素設計
「なぜあのメディアは“ブランドらしさ”を感じさせるのか?」という問いに対して、見た目やデザインだけでなく、設計思想や一貫したメッセージの積み重ねが鍵となります。ここでは、ブランディング型オウンドメディアの成功事例としてよく挙げられる2社を取り上げ、どのような要素設計が効果を生んだのかを具体的に分析します。
取り上げる事例は以下の2つです。
事例1:サイボウズ式(共感・カルチャー型)
『働き方』『チーム』『多様性』など、企業カルチャーをテーマに継続的な発信を行うサイボウズ式は、社内価値観の体現メディアとしてブランド構築に成功しています。特に、実体験をもとにしたコンテンツ設計や、社員視点の記事が共感を呼び、採用ブランディングや指名検索の増加にも貢献しています。
共感を重視したコンテンツと、企業姿勢の一貫性が、単なる情報発信を“信頼”に変える要因となっています。
事例2:北欧、暮らしの道具店(ストーリー・世界観型)
コンテンツとECを融合させた『北欧、暮らしの道具店』は、商品の販売だけでなく、世界観を含めて“体験”として提供するブランドメディアの好例です。写真の色調、文体、登場人物のライフスタイルまでが一貫して設計されており、ユーザーは単なる購買者ではなく、“共感する読者”として接触を継続できます。
結果として再訪率やLTVが高く、コンテンツそのものがブランドの証となっています。
ありがちな失敗パターンとその回避策
オウンドメディアでブランディングを狙ったものの、「手応えがない」「社内説得ができない」という声も少なくありません。その多くは、設計段階での考慮不足や、表層的な演出に終始してしまうことに起因します。
ここでは、よくある失敗例を2つに分類し、それぞれの原因と回避ポイントを解説します。
コンセプト不在/形だけブランディング
サイトデザインやコンテンツの見た目は整っていても、ブランドの軸や価値観が明文化されていなければ、それは単なる“おしゃれなメディア”止まりになってしまいます。ありがちなのが、ビジュアルやトーンを後付けで整えただけの状態です。
読者に『らしさ』や『一貫性』が伝わらず、記憶にも残りません。まず必要なのは、企業のミッションやバリューを言語化し、それをベースにコンテンツや構成に落とし込む設計が必要です。
KPI不明確で説得できない問題
ブランディング施策は成果が見えにくいとされがちですが、それは何をもって成果とするかが初めから設計されていないケースが多いためです。PVやCVでは測れない価値に対して、指名検索数、共感コメント、再訪率など関与の深度を示す中間KPIを定めておくことが重要です。
社内合意形成には、こうした指標を用いた定性的・定量的なハイブリッド評価が欠かせません。言語化と数値設計の両輪で説得力を高めましょう。
ブランド型オウンドメディアの設計フロー
ブランディングを目的としたオウンドメディアを成功させるには、「なんとなく良い感じ」ではなく、ブランドの核を設計し、それをコンテンツ・デザイン・体験に一貫して反映させる必要があります。
感覚的に作るのではなく、ステップを踏んで言語化と構造化を行うことで、社内外に共感と納得を得られる『戦略的なメディア』が実現します。
この章では、以下2つのステップに分けて、設計プロセスを解説します。
ブランドコンセプト設計
設計の出発点は、企業の『らしさ』を言語化することです。ミッション・ビジョン・バリューといった基本要素をベースに、『誰に・何を・どう伝えるのか』を定義することで、トーンや表現の軸が定まります。
加えて、ユーザー側の価値観や共感ポイントと企業軸を接続する視点も欠かせません。ブランドコンセプトは一度定めれば、社内のクリエイティブ判断にも使える“共通言語”になり、属人的判断を防ぐための土台として機能します。
コンテンツ/トーン/UXへの落とし込み
策定したブランドコンセプトは、具体的な記事構成・トーン・デザインに落とし込む必要があります。たとえば、カテゴリ設計ではユーザーの価値観と接点を意識し、記事トーンでは『らしさ』を体現する言葉選びが重要です。
また、UX面でも余白や写真、動線設計によって『世界観』が形になります。これらは感覚に任せるのではなく、意図的に整える設計力が求められます。表現の一貫性が読者の信頼や再訪に直結します。
KPIとブランディング効果の測り方
「ブランディングは定量化しにくいから、成果を説明しづらい」と多くの担当者が抱える悩みの一つです。しかし実際には、定量・定性の両側面からKPIを設計することで、効果の可視化と社内への説得力を両立することが可能です。
重要なのは、ブランディング特有の『継続関与』や『共感の深さ』をどう評価軸に落とし込むかという視点です。ここでは、以下の2種類のKPIを解説します。
定量的KPI:PV・滞在時間・指名検索
ブランディング型メディアでも、数値で追える指標は多数存在します。たとえば、直帰率の低下や平均滞在時間の伸びは『読み込まれているコンテンツ』の証であり、指名検索数の増加はブランド想起の向上と捉えることができます。
また、メルマガ登録数やSNSフォロー数など、継続関与を示す行動も有効なKPIです。SEOのCVとは異なる視点で「どのような価値が届いているか」を測る設計が必要です。
定性的評価:コメント・共感・行動文脈
定量だけでは測りきれない『共感』や『信頼』は、ユーザーの言葉や行動の文脈から読み取ります。たとえば、記事へのコメント内容、SNSでの引用文言、社員や読者による自主的なシェアといった反応は、ブランド接触の深度を表す定性データです。
これらを無視せず記録・蓄積することで、『どの価値観が届いているか』『どのトーンが刺さっているか』といった改善指針にもなります。数値とあわせて評価する視点が重要です。
X-knockによる支援事例と提供サービス
ブランド型オウンドメディアの立ち上げやリニューアルには、戦略設計からトーン設計、運用まで一貫した視点が求められます。X-knockでは、そうした『感覚に頼らない』ブランディング支援を、実例ベースで提供しています。
ここでは、実際の支援事例と提供サービスの内容を通じて、どのように企業の価値をメディアで表現していくのかをご紹介します。
支援事例:採用ブランディング型/BtoB共感型
採用目的でブランドメディアを立ち上げたBtoC企業では、社員の価値観や働き方を可視化するコンテンツと、共感を軸にした世界観設計によって、応募者の質と指名検索数が向上。BtoB領域では、専門性×共感をテーマにトーンと構成を設計し、信頼醸成に成功した事例もあります。
いずれも初期フェーズでブランドコンセプトを言語化し、それを軸に記事・カテゴリ・デザインへと落とし込んだことが、成果の土台となりました。
X-knockの支援メニュー紹介
X-knockでは、単なる記事制作やディレクションではなく、戦略設計から言語化テンプレ提供、UX含めた構成提案まで、ブランディングに必要な全工程を支援対象としています。具体的には、ブランドコンセプトの言語化ワーク、カテゴリ・トーン・ビジュアルの設計、ライティングガイド整備、社内説得資料の整備などが含まれます。
企業の本質を『伝わる形』に変換し、内外の認知と共感を高めることが私たちの強みです。
まとめ|共感される“戦略的なメディア”を作るために
オウンドメディアを通じたブランディングは、単なる情報発信ではなく、企業の“価値観”を社会に届ける営みです。そのためには、目的の言語化、コンセプトの設計、表現の一貫性、そして評価の指標化という、感覚に頼らない設計思考が不可欠です。
本記事では、ブランディング型メディアの構造と成功事例、失敗を防ぐ設計視点、定量・定性の評価軸までを整理しました。自社が何を伝えたいのか、誰にどう届けたいのか。その軸を見つめ直し、共感と信頼を育てる“戦略的なメディア設計”を、いまこそ始めてみてください。