【不動産業界特化】オウンドメディアの成功事例10選｜集客・反響を生む秘訣とは？

なぜ今、不動産業界にオウンドメディアが必要なのか？

ポータルサイトへの掲載費は年々高騰し、反響単価も上がる一方にもかかわらず、問い合わせ数は頭打ち。こうした課題に直面した不動産会社が、次の一手として注目しているのが『オウンドメディア』です。

今の顧客は、物件情報を受け身で待つのではなく、自らWebで比較・検討を行うのが当たり前になっています。つまり、初期段階からオンライン上で情報提供を行い、自社の強みや地域密着性を伝えることが、信頼構築と反響獲得の起点になるのです。

従来の手法だけでは届かない層にリーチし、広告費を抑えながらも継続的に問い合わせを得る手段として、オウンドメディアはもはや「あると便利」ではなく「必要不可欠」な存在になりつつあります。

【成功事例】オウンドメディアで成果を出した不動産会社一覧

実際にオウンドメディアを導入し、集客や反響獲得につなげた不動産会社の成功事例を紹介します。「うちの規模でも成果が出るのか？」「どんなコンテンツを作ればいいのか？」と迷っている方にとって、各社の施策や成果はきっと参考になるはずです。

エリアや物件種別ごとに異なる戦略を採用している企業事例から、コンテンツの工夫・導線設計・KPI改善のヒントを得ていただければと思います。今回解説するのは下記の10社の事例です。

• 事例①：地域密着×中古住宅専門メディア
• 事例②：賃貸向け×物件提案ブログ型メディア
• 事例③：投資用不動産×比較・シミュレーション型コンテンツ
• 事例④：建売販売×ユーザーインタビュー中心型メディア
• 事例⑤：不動産管理会社×Q&Aナレッジ系コンテンツ
• 事例⑥：新築分譲×エリア特化コンテンツ戦略
• 事例⑦：リノベーション住宅×ビフォーアフター型記事
• 事例⑧：不動産テック企業×ホワイトペーパー連動型戦略
• 事例⑨：大型リノベーション × ナレッジ系コンテンツ
• 事例⑩：外壁・屋根工事 × ナレッジ系コンテンツ

事例①：地域密着×中古住宅専門メディア（株式会社リノベ不動産）

項目	詳細
企業名	株式会社リノベ不動産
URL	https://renovefudosan.com/
施策内容	・「中古＋リノベ」に特化した記事を継続発信 ・物件・施工事例をエリア別に掲載 ・Q&Aや手順解説でSEO対策を強化 ・問い合わせ導線を最適化しCV設計を実装
成果	・6ヶ月でPV約3倍に増加 ・月20件以上の新規問い合わせを獲得 ・「地域名＋中古住宅」で検索上位を獲得

中古住宅とリノベーションに特化した情報を発信することで、地域密着型のブランドを確立した事例です。エリアごとの物件紹介だけでなく、リノベの流れやよくある質問への回答など、検討初期のユーザー課題に寄り添った記事設計を徹底。SEOを意識したキーワード選定に加え、物件ページからの問い合わせ動線を工夫することで、ユーザーのアクションを自然に誘導する設計が光ります。

結果として、立ち上げから6ヶ月でオウンドメディアのPVは約3倍に増加。問い合わせ件数も月20件以上増え、地域名を含む検索キーワードでの上位表示に成功しました。情報提供と集客のバランスを取った好事例です。

事例②：賃貸向け×物件提案ブログ型メディア（ピタットハウス JR神戸店）

項目	詳細
企業名	ピタットハウス JR神戸店
URL	http://www.h-planner.co.jp/
施策内容	・物件紹介をブログ形式で定期更新 ・周辺環境や地域情報もあわせて発信 ・スタッフのコメントや写真で親しみやすさを強化 ・LPへの導線設計でCVを誘導
成果	・ブログ経由の問い合わせ件数が増加 ・地域での認知度向上と成約率アップ

物件の魅力をブログ形式で丁寧に伝えることで、地域密着型の集客を実現した事例です。写真やスタッフのリアルな声を交えたコンテンツにより、読者に親しみを感じさせる仕掛けが特徴。

物件情報だけでなく、周辺環境や生活情報も紹介することで、検討中のユーザーの不安や疑問を解消しています。また、記事内にはLPへの誘導も設計されており、検索流入から問い合わせにつなげる導線が確立されています。

結果として、問い合わせ件数・来店率ともに安定的に向上し、地域内での認知獲得にも成功しています。

事例③：投資用不動産×比較・シミュレーション型コンテンツ（JPリターンズ株式会社）

項目	詳細
企業名	JPリターンズ株式会社
URL	https://wealthknowledge.jpreturns.com/
施策内容	・投資ローンや金利の違いをわかりやすく解説 ・他投資商品との比較コンテンツを掲載 ・図表・チャートで視覚的に内容を整理 ・シミュレーションCTAで資料請求や参加を促進
成果	・サイト訪問者数が増加・資料請求 ・セミナー参加者が増加・投資物件の成約数が向上

投資用不動産を検討するユーザーに向けて、ローンや商品比較などの情報を図解で整理し、専門知識に自信がない層でも理解しやすい構成に仕上げた事例です。他の投資商品と並べて比較することで、「なぜ不動産投資なのか？」を納得感をもって理解させる設計がされています。

また、記事内に配置した投資シミュレーションCTAによって、資料請求やセミナー申込といった具体的なアクションへと自然につなげています。結果として、Webサイトの閲覧数だけでなく反響率・成約率も向上し、コンテンツを通じた信頼獲得とCV導線設計がうまく機能した成功事例といえます。

事例④：建売販売×ユーザーインタビュー中心型メディア

項目	詳細
企業名	ジェットの建売
URL	https://jetnotateuri.com/voice/
施策内容	・購入者インタビュー記事を中心に掲載 ・決め手や住み心地を具体的に紹介 ・写真・動画を活用し、物件の魅力を可視化
成果	・購入検討者の不安解消に貢献 ・問い合わせ件数と成約率がともに向上

購入者の生の声を記事化し、「どんな人が、なぜこの物件を選んだのか？」というストーリーで信頼を醸成した事例です。インタビュー形式で決め手や生活の実感を伝えることで、読者が自分ごととして物件を捉えやすくなっています。

視覚要素も取り入れ、物件の魅力を直感的に伝えたことで、検討段階のユーザーからの問い合わせや成約が着実に増加しました。

事例⑤：不動産管理会社×Q&Aナレッジ系コンテンツ

項目	詳細
企業名	株式会社ラインズマン（暮らしっく不動産）
URL	https://www.kurachic.jp/
施策内容	・賃貸管理や契約に関するQ&A形式の記事を展開 ・オーナー・入居者の疑問に専門的に回答 ・SEOを意識したキーワード・内部リンクを最適化
成果	・問い合わせ件数が1.5倍に増加 ・特定キーワードで検索上位を獲得し自然流入が増加

不動産管理に関する専門性を活かし、Q&A型コンテンツを通じてユーザーの信頼を獲得した事例です。実際の問い合わせに基づいたテーマ選定により、リアルなニーズに対応。

検索意図に沿ったSEO設計とサイト内導線の最適化で、ユーザー回遊とCVにもつながる構造を構築しました。

事例⑥：新築分譲×エリア特化コンテンツ戦略

項目	詳細
企業名	株式会社コスモスイニシア
URL	https://www.cigr.co.jp/
施策内容	・販売エリアごとに専用コンテンツを展開 ・学区/交通/生活環境など地域情報を網羅 ・ローカルSEOを重視したコンテンツ設計を実施
成果	・ロングテールSEOで自然流入を増加 ・サイト訪問者・問い合わせ件数ともに向上

新築分譲の購入検討者に向けて、地域ごとの詳細な生活情報を発信することで、ユーザーの比較検討を後押しした事例です。ローカルキーワードを意識した記事構成により、ピンポイントの検索にも応える精度の高いSEOを実現し、PVと反響の両方を拡大しました。

事例⑦：リノベーション住宅×ビフォーアフター型記事

項目	詳細
企業名	株式会社ひかリノベ
URL	https://hikarinobe.com/
施策内容	・施工事例をビフォーアフター形式で掲載 ・写真/間取り図を活用し視覚的に変化を訴求 ・流れやポイントも記事で解説し理解促進
成果	・ブランド認知と問合せ意欲が向上 ・ショールーム見学/資料請求のCV率が改善

視覚的インパクトを重視した記事構成で、リノベーション後の生活イメージを明確に提示した事例です。『見た目の変化』に説得力を持たせることでブランドの魅力を伝え、ショールームへの来場や資料請求など、リアルな行動につながるコンバージョン率を高める効果を生み出しました。

事例⑧：不動産テック企業×ホワイトペーパー連動型戦略

項目	詳細
企業名	東京建物株式会社
URL	https://office.tatemono.com/magazine/
施策内容	・法人営業向けオウンドメディア「NEXT WORK PRESS」を立ち上げ ・競合分析と自社ポジションを明確化し戦略設計 ・DX/リアル営業と連携する記事設計とCTA導線を展開
成果	・業界関係者からの反響が増加 ・記事活用の動きが社内にも波及 ・リアル営業と連動した情報活用が進展

法人営業のデジタル活用を目的に、ホワイトペーパーや市場分析コンテンツを軸にしたオウンドメディアを構築。単なる記事発信に留まらず、リアル営業や社内研修への活用など、多面的な情報資産として機能します。

社内外からの好反応を得て、営業改革のきっかけづくりにも貢献しました。

事例⑨：大型リノベーション × ナレッジ系コンテンツ

項目	詳細
企業名	リノベーションハイム
URL	https://sekisuifamis-dr.jp/
施策内容	・リノベーション工程を体系化し、ナレッジ記事を定期更新 ・図解/ステップ形式で初心者にもわかりやすく構成 ・物件ごとのビフォーアフターを連携
成果	・専門性の高い検索ワードで流入増 ・問い合わせ/資料DLへの自然導線が強化

リノベーションに関する知識を図解やステップで整理し、情報コンテンツとして価値を高めた事例です。ナレッジとしての信頼性と、実例紹介による説得力を両立し、専門性の高いユーザー層の関心を獲得しました。

事例⑩：外壁・屋根工事 × ナレッジ系コンテンツ

項目	詳細
項目	詳細
企業名	トベシンホーム
URL	https://tobeshinhome.com/
施策内容	・外壁/屋根リフォームに関する基礎知識を解説 ・施工費用/耐用年数などを図表で整理 ・記事内から相談・見積もり導線を設置
成果	・SEO経由の流入が安定化 ・見積もり相談件数が月間20件以上に到達

住宅メンテナンスの定番テーマである外壁・屋根工事について、読者の「知らない不安」に寄り添う情報設計を行った事例です。数値・比較要素を取り入れ、検討を後押しする記事導線により、見積もり獲得数が大きく増加しました。

不動産オウンドメディアでよく読まれる記事タイプとは？

不動産オウンドメディアで成果を出すには、『誰に、どんなタイミングで、どんな情報が必要とされているか』を踏まえた記事設計が欠かせません。検索ユーザーのニーズを的確に捉え、SEOと反響（CV）の双方を見据えた記事タイプを選ぶことで、集客から問い合わせまでの導線が自然に整います。

本章では、反響につながりやすい4つの記事タイプを紹介します。

• タイプ①：How to／手順解説系
• タイプ②：エリア情報・地域特化コンテンツ
• タイプ③：購入・売却事例／お客様の声型
• タイプ④：比較・ランキング・診断系

それぞれの特徴と狙うべき読者層を理解することで、自社にとって有効な記事の軸が明確になります。

タイプ①：How to／手順解説系

『○○のやり方』『○○の流れ』など、具体的な課題解決を目的とした記事は、不動産オウンドメディアの集客起点として特に有効です。検索ユーザーは、自分で情報を調べながら不動産の購入・賃貸・売却などを検討しているため、信頼性の高いHow toコンテンツはアクセスを集めやすい傾向があります。

検討初期の潜在層にも届きやすく、ロングテールキーワードと掛け合わせることでSEO効果も期待できます。手順をステップ化した構成や図解を交えると、読了率・回遊率の向上にもつながります。

タイプ②：エリア情報・地域特化コンテンツ

『○○市の住みやすさ』『△△エリアの子育て環境』など、地域に根ざした情報は、ローカルSEOとの相性が非常に良く、地域密着型の不動産会社にとって強力な資産となります。物件情報と併せてエリアの魅力や生活利便性を紹介することで、検討中の読者に安心感を与えるだけでなく、『このエリアのことを一番よく知っている会社』というブランディングにもつながります。

市区町村や駅名など、具体的な地名を軸にテーマを広げるのが効果的です。

タイプ③：購入・売却事例／お客様の声型

実際の顧客の体験談をもとにした記事は、見込み顧客の不安を払拭し、信頼感を醸成するコンテンツとして非常に有効です。「この人と同じ状況かも」と読者に思わせることで、共感と安心を生み、問い合わせや来店といった行動につなげやすくなります。

成約の経緯や決め手、実際の満足度などをリアルに伝える内容が理想です。テキストだけでなく、写真・動画・インタビュー形式など多様な表現を組み合わせると、説得力と訴求力が一段と高まります。

タイプ④：比較・ランキング・診断系

『○○と△△の違い』『おすすめエリアランキング』『自分に合う物件タイプ診断』など、選択肢に迷う読者をナビゲートするコンテンツは、検討段階のユーザーに刺さりやすい構成です。意思決定の後押しとなる具体的な情報を提示することで、ユーザーの不安を軽減し、記事内に設置したCTA（資料請求や相談フォームなど）への動線設計もスムーズになります。

選び方に迷っているユーザーに対し、自社が“導いてくれる存在”として印象づけることができます。

不動産オウンドメディアを成功させるための7つの戦略とは？

成果を出している不動産オウンドメディアには、共通する“戦略的設計”があります。単に記事を量産するのではなく、『誰に・何を・どう伝えるか』を徹底的に設計し、SEOとCVを両立させる体制を整えているのが特徴です。

この章では、不動産業界でオウンドメディアを軌道に乗せるために必要な7つの戦略を紹介します。初心者でも再現できるよう、考え方と実践ポイントをセットで整理しました。

• 戦略①：SEOで戦える地域特化キーワードの設計
• 戦略②：不動産業ならではのCV設計と導線設計
• 戦略③：事例・ユーザー声コンテンツで信頼を醸成
• 戦略④：運用を止めないための社内・外注体制構築
• 戦略⑤：KPIは営業視点まで落とし込む
• 戦略⑥：SNS連携・LINE誘導で集客幅を拡張
• 戦略⑦：事例をコンテンツ資産として再利用する

戦略①：SEOで戦える地域特化キーワードの設計

不動産業界では「エリア×物件種別」の掛け合わせが最も強力なSEO資産になります。駅名、市区町村、学区、商業施設など、検索ニーズが明確なローカルキーワードを軸に設計することで、大手と競合せずに上位表示を狙うことが可能です。

特に『○○市 中古マンション』『△△町 戸建て リノベ』などのロングテールキーワードは、見込み度の高いユーザーを確実に呼び込めます。エリア密着型の強みを活かすには、地域特化のSEO設計が欠かせません。

戦略②：不動産業ならではのCV設計と導線設計

オウンドメディアでは『物件を見せて終わり』にせず、次のアクションへ自然に導く導線設計が重要です。たとえば、資料DLや無料相談、来店予約、LINE相談など、複数のCVポイントを用意することで、ユーザーの温度感に合わせた接点が持てます。

各記事のテーマや読者層に応じて、最適なCTAを選定し、本文中や記事末に配置することでCV率を大きく改善できます。不動産業ならではの“行動を後押しする情報設計”が求められます。

戦略③：事例・ユーザー声コンテンツで信頼を醸成

購入・契約・管理といった意思決定を後押しするためには、リアルな事例コンテンツが不可欠です。「どんな悩みを持った人が、なぜその物件を選んだか」「実際に住んでどう感じているか」といった体験を伝えることで、読者に安心と信頼を与えます。

インタビュー記事やお客様の声は、特に検討フェーズの読者に強く響き、問い合わせや来店につながる確度の高いコンテンツです。

戦略④：運用を止めないための社内・外注体制構築

不動産会社ではWeb専任の担当者が不在、または兼任であることが一般的です。そのため、社内リソースだけに依存せず、外注や分業を前提とした体制を構築することが現実的です。

企画〜編集〜公開までのフローを明文化し、属人性を排除することで、誰が関わっても止まらない仕組みを作ることができます。継続できる体制設計は、成果の前提条件です。

戦略⑤：KPIは営業視点まで落とし込む

PVやCVといったWeb指標だけでなく、「内見率」「成約率」「営業化率」などの実務KPIと連動させることで、社内報告や意思決定にも活用できる運用になります。

たとえば「このブログ記事を読んだユーザーの問い合わせから成約までの平均件数」など、営業部門と連携した数値設計を行うと、全社的に納得感のあるメディア施策に育てることができます。

戦略⑥：SNS連携・LINE誘導で集客幅を拡張

SEOだけに依存せず、SNSやLINEと連携した集客導線を確保することが、成果の最大化につながります。Instagramでの物件紹介、X（旧Twitter）での事例紹介、LINEでの個別相談など、チャネルを使い分けることで接点の幅を広げられます。

特にLINE連携は「相談→来店」の導線づくりに直結するため、早期に整備すべき施策です。

戦略⑦：事例をコンテンツ資産として再利用する

一度制作した事例コンテンツは、形式を変えて再利用することで、中長期的に成果を生む『資産』に変わります。たとえば、ブログ記事→PDF資料→ショート動画→SNS投稿といった形で多用途展開すれば、少ない労力で発信力を高められます。

また、事例は“信用”の核となるため、営業資料や広告クリエイティブへの転用などにも活用可能です。

まとめ｜「続かない」「効果が見えない」悩みを超えて成果を出すには？

不動産業界でオウンドメディアを成功させるには、継続できる運用体制と、反響につながる戦略設計の両立が不可欠です。

「何を書けばよいか分からない」
「問い合わせにつながらない」

といった壁は、ターゲット・検索意図・CV設計を明確にすることで突破できます。記事制作を思いつきから仕組み化へと進化させることで、安定的な集客チャネルとして成果を生み出せるメディアに育てていきましょう。